といし (砥石) grindstone
刃を研ぐのに用いる石材。荒砥・中砥・仕上げ砥の3種類がある。別に人造砥石もある。
ドイツマーブル German marble
ドイツ式マーブル。
光を透かして見えるフィルムやスライドなどの原稿。リバーサルフィルムは代表的なカラー印刷の透過原稿。
とうきど (透気度) air permeability of paper
紙の一定面積を一定量の空気が一定圧力の下で通過するのにかかる時間のこと。この値によって紙の有孔度を決めている。有孔度の大きな和紙等を印刷・製本するときは、エア給紙で紙を搬送できないので、手作業をともなう。
とうきょうちょうあい (東京丁合い)
→手丁合い
どうさびき(礬水引き)
膠液を明礬水溶液と混合した「どうさ」を、和紙に引くこと。墨・インキ・絵の具などのにじみ止めや和紙の毛羽立ちを抑えるために使う。
とうし (唐紙) Chinese paper
中国原産の竹を原料としてつくった紙。奈良時代からわが国に輸入され、表面は粗剛で質はもろい。書画用あるいは表装の裏打ちに用いる。和唐紙はこれを模してつくった日本製のもの。
どうずり (胴刷り) set off on cylinder
枚葉印刷機の印刷トラブル。紙が供給されないのに刷版が直接圧胴に当たり転写された絵柄が、その後に供給された紙の裏面に転写されてしまうこと。損紙となる。
とうちゅう (頭注) headnote
「注」のこと。→注
とうびょうこうか (投錨効果)
接着の仕組み。接着剤が紙繊維の間に浸透して、繊維にからんで紙を接合する。このときの形が錨(いかり)をおろして船体と水底をつないだ姿に似ているので「投錨効果」と名付けた。
(1)通しページ、通し見出し、通し柱等、本の1冊を通じて同一の見出し(柱)をつけたり、全集本等に1巻から最終巻までノンブルを追ってつけること。(2)「通し枚数」等はその印刷機・製本機にかける枚数(部数)。「通し」は通算してという意味になる。「ロット」が似通った意味。
とおしぐみ (通し組) full measure
2段あるいは3段などに区切らず、全行を通して1段で組むこと。段組に対していう。
とおしノンブル、とおしページ (通しノンブル、通しページ)
「追い丁」のこと。
とおしはしら (通し柱) running head/running foot
1冊を通して同じ見出し語を揚げる柱。例えば偶数ページに書名、奇数ページに編名・章名があるとき、偶数ページの書名の柱は最初から最後まで同一にする。→通し
とおしページ (通しページ)
分冊された書籍や雑誌の全巻を通じて連続したページ。定期刊行物の中でも、1年分を通してページをつけることがある。
とおしみだし (通し見出し)
→通し
とくさ (砥草、木財)
しだ類の一種。本の小口などのザラつきを磨いたり、帳簿のノンブル消しなどに使う。
紙折りは、書籍・雑誌等をつくるための4ページ、8ページ、16ページ等に直角折りした折丁をつくるのが基本だが、羽根折り機(バックル折り)が広く使われるようになり、直角折り以外のさまざまの折り方が主に商業印刷物で行われるようになている。書籍では、通常の回し折り仕様の8ページ折りや16ページ折りなどと違った平行折りの、4ページ小口折り込み、4ページ大三つ折り、6ページ大三つ折り、巻き三つ折り、片観音折り、両観音折り、地図折り、グレック折りなどが行われている。また小型折り機により小さな折丁をつくるのも、普通に行われている紙サイズでないということから「特殊折り」に含められる。→折り(紙折り)、折り機
とくしゅばん (特殊判)
規格サイズにない判型。寸伸び、異形(いぎょう)、異形判等の言い方もある。「変形判」に詳述。→異形判
とくしょく (特色)
プロセスインキ4色(CMYK)のほかに、特別に指定したインキの総称。
ドクター doctor
糊ロールの塗布量を調整するための装置。無線とじ機、表紙貼り機、下固め機、背巻き機等、接着剤を塗布して綴じたり貼ったりする製本機械の中心的な部分である。
ドクターブレード
糊付けローラーの表面に盛られる糊の量を制限するブレード(板)のこと。カムにより制御され、ローラーに対して糊の付け始めに間隔が開き、糊切りのポイントで閉まる。
ドクターローラー
無線とじ機の糊付けローラーの後にあり、糊付けローラーと反対方向に回転する。本の背に塗布される糊量を調節する小型ローラー。図にはscraperとして示される。
ドクターロール doctor roll
接着剤などを塗布するロールに対し、逆方向に回るロールのことで、塗布量を調整するもの。
とこがわ (床皮) flesher
羊革3枚に割ったへぎ革のうち、一番下の部分が床革。
本の中身が散逸しないように結合させること。糸、針金、接着剤、スパイラル(リング)等でとじる。「綴る」は「とじる」「かがる」「つづる」と3通りに読むことができ、糸とじ・糸かがり・糸つづりは同じ意味に使われている。同様に、針金とじ・針金かがり・針金つづり、無線とじ・無線かがり・無線つづりもありうる。
とじあな (綴じ穴)
伝票類は、保存上あらかじめ綴じ穴をあけて製本する場合が多い。一般にパンチ穴と呼ばれ、JISで穴の直径や間隔が決められている。
とじいと (綴じ糸) sewing thread/thread
本の背をかがる場合に用いる糸。絹(和綴じ用)・木綿・化繊・麻などがある。
紐を通して紙葉を綴じるための表紙。文房具として一般事務・会社等の書類整理等に使われる。表紙貼りの技術でつくる。クロス貼りしハトメをつける。ファイル・バインダーの一つ。加除式製本で使う。
とじしろ (綴じしろ) binding margin
製本のとき、ひらとじまたは穴あけをするために用意する余白のこと。
ノド布で継ぎ貼りした見返しを本文の巻頭と巻末に貼り付け、ミシンをかける。継ぎ見返しの一種。
とじめ (綴じ目)
(1)本のノドの部分。②本を綴じるときの穴の位置。(2)ミシン綴じをしたときミシンの縫い目の間隔(ピッチ)をいう。
としょ (図書) book
ドジョウ (泥鰌)
細長い鉄棒のネジ廻しの俗称。ドジョウに似ていることから名付く。
としょがく (図書学)
「書誌学」と同じ。→書誌学
としょかんせいほん (図書館製本) library binding
(1)図書館用に特別丈夫に製本した物。(2)本を合冊・改装・修理などによって再製本すること。図書館の在庫本の修復などを行う。もろほん・諸製本と呼ばれていた。→もろ製本
としょレーベル(図書レーベル) book label
図書館等で本の整理のために表紙の背に貼るレーベル(ラベルのこと)。
ドス (DOS) disk operating system
コンピュータを操作するためのオペレーティングシステムを、磁気ディスク記憶装置で行うOSのひとつ。MS-DOS、DOS/Vなどがある。
ドット dot
網点。印刷物を構成する点。この点の大小によって原稿の濃淡を再現する。「ドットジェネレーター」は、電子的に網点を発生させる装置。
トナー toner
電子印刷において、潜像パターン(肉眼では見えない画像)を可視化、固定するための物質を電子トナーという。磁気トナーもある。
とび
紙面に設定された位置から印刷面がずれていること。枚葉印刷は紙を前当て・横針に当てることによって印刷位置が紙面の設定された位置に一致する仕組みだが、定規に当たらなかったりすると針違いが発生する。
前付けの一種で見返しの遊びの次に位置し、書名・副題名・著者名・出版社名などが印刷される。本文より上質な厚手の紙を用いるのが一般的である。欧米では、本文と共紙を用い一折りに印刷する場合が多い。ときには見返しに印刷されることもある。標題紙ともいう。→ページネーション
とびらえ (扉杖) vignette/illustration/headpiece/cut
ドブ
多面付けの印刷紙に多く見られる、断ち落とす余白の部分。枚葉紙のサイズと印刷の面付けにおいて、やむなく発生する有効印刷面積以外の余分な落とし余白のことをドブという。化粧断ち以外の余白である。ドブの幅は常識的には数mm~10cmだが、面付けの都合で20~30cmのドブができてしまうこともある。
ドブたち (ドブ断ち) blead off
ドブを断裁の際に断ち落とすことを「ドブ断ち」という。また、絵柄等を断ち落として仕上げるもの等、多面付け印刷していながらドブをとっていない場合もあり、こういうときの断裁は「断ち割り」である。表紙・はがき・カバー等の多面付け印刷に多く見られる。また、絵柄等が2ページ見開きにわたっていてドブのような余白をとっているが、ドブ断ちも断ち割りもしてはならないものもある。無線とじ・アジロとじするために準備した数mmの余白で、接着剤のはみ出し・ガリ入れ等のための余白である。
どべり
「ぞべり」と同じ。
とめミシン (止めミシン)
返信用ハガキなど印刷物の一部分を切り取るため、紙の端から端まで通すことなく、必要な箇所で止める切り取りミシンのこと。「T字ミシン」ともいう。
ともえづみ (ともえ積み)
→四本積み
書籍や雑誌類の付き物を本文と同質の紙でつくる事を共紙という。口絵等はアートコート紙等にカラー印刷したり、トビラは本文用紙と雰囲気の異なる用紙を使うのが、伝統的な出版技法だったが、本文中にカラー部分も取り込む(あるいは口絵等も本文用紙と共紙を使いカラー印刷する)等、1冊の本を全部同じ紙質によってこしらえる、欧米と同じ出版事情になっていることを物語る。「共紙表紙 self cover」は、折丁の外側のページをそのまま表紙にあて、中身と同じ紙の表紙になる。パンフレット類などに多く見られる。
ともがみびょうし (共紙表紙) integral cover
→共紙
ともとじ (共綴じ)
表紙と中身とを同時に針金綴じすること。たとえば、教科書の表紙に足継ぎして、これと中身とを同時に針金綴じする(クロスを背巻きする)。
カバー掛け機。商品名ではあるが、書籍のカバー掛けを自動化したユニークな機械であり、いまではトライオートの機能そのものをも意味するようになっている。上製本用・並製本用があり、最近では本の自動供給・カバー掛けした本の自動取り出しも機械処理できるように付属装置も開発されている。 メーカー (株)西岡製作所
とりい (鳥居)
断裁機の上部のアーチ形のフレームをいう。断裁用の庖丁はこの間を上下に運動する。形が神社の鳥居を連想させたので、こう愛称した。
とりおち (取り落ち) miss-feed
とりおとし (取り落とし)
取り込みと反対の作業ミス。製本作業中に順序正しく揃えるべき丁合をぬかしてしまうこと。落丁の原因になる。→落丁
増丁のこと。→丁合い
とりせつ (取説)
いろいろな商品につけられている取り扱い説明書のこと。略して「取説」という。折って仕上げるリーフレットのもの、製本するもの等が大量につくられている。
とりや (取り屋)
製本機械について行う補助的な作業に「取り屋」がある。折丁の取り出し、出来本の取り出し、カバー掛けした本の取り出し、包装機からパレットへの積み込み等々、自動化が遅れていて人手による作業に頼っている製本所が多い。取って員数等を行いパレット積みしたりする。取り出しの作業、その作業者をさす。
ドリルせんこうき (ドリル穿孔機) drill
「穴明け」する機械。 メーカー (株)内田洋行、(株)大西機械、杉山機械工業(株)、(株)日興貿易、(株)二村商会、(株)宮本鉄工、渡辺通商(株) →穴開け
トレーシングペーパー tracing paper
薄くて透明な筆記用紙の一種。図引き用紙ともいう。
ドンコあな (ドンコ穴)
ルーズリーフ、伝票等をバインダーにとじるためにあける穴。角型・丸型がある。規格が定められていて、(1)穴の直径は5~6mm、(2)穴の中心から中心までの間隔は9.5mm、(3)紙の端から穴のへりまで3.5mm、(4)紙のへりの中央に対し穴は対称の位置にあること。
「ドンコ」はモーターが使われる以前の穴明け機械(手回しのフライホールの回転を動力源)が穴明けの際にドンという音を出したのでドンコというようになった。ミシン穴のように小さな穴をあけるのは、音も小さくて「ポッチング」である。「ドンコ」には異説があり、ドンコという魚の横腹にドンコ穴とよく似た模様があり、これから来たという。→穴開け
どんすおり (緞子織り)
金襴緞子(きんらんどんす)等、紋織りの織物。着物以外では表具類に多く使われ、製本装丁用には化繊糸を使ったものが用いられる。
どんちょう(曇徴)
古代朝鮮の高麗の僧。推古天皇18年(610年)に彩色・紙・墨の製法等をわが国に伝えたといわれる。紙の製法はもっと古くからわだ国に伝わっていたというのが最近の学説。
ドンデン、ドンテン improper loading
さかさまにひっくり返すこと、物事がすっかり逆転することを「どんでん返し」と言うが、製本所でいう「ドンデン」もここから出ている。丁合機・中とじ機に折丁を積み込む際の置きちがいのミスのうち、とくに折丁の向きを天地・表裏を逆にしてしまうこと。ドンデンになったまま製本作業を続ければ、天地・左右が逆になっていたり、ページ順が逆になった箇所のある不良品(乱丁本)ができてしまう。→置きちがい、乱丁防止装置
ドンテンおり (ドンテン折り)
手折り。16ページ以上の折りのとき、回し折りにせず、返して折ること。紙折り機では構造上できない。返し折りとも言う。→打ち返し
ドンテンかえし(ドンテン返し)
両面印刷で、表面を印刷した後、反対の咬えて裏面を印刷する方法。
「だるま掛け」と同じ。→打ち返し
トンネル tunnel
本の中身と表紙の背にすき間ができる状態をいう。
多色印刷の各色版の刷り合わせを正確にするための目印。印刷体裁の指標および製本加工の指標として使用するマーク。0.1mm程度の罫線で示され、十字・カギ形等、用途によって形状が異なる。印刷の多色の見当をみる見当合わせトンボ、位置指示をするセンタートンボ、折りトンボ、断裁トンボなどがある。見当標ともいう。→見当