だい (台) table
刷り本を断ち割り(断裁)して紙折り。さらに丁合台1台に積む。このときの1台分。1単位になるのが「台」である。折りのない、断ち割りされただけのペラ(2ページ)物も1台になることがあり、貼り込みした折丁も1台に数える。
だいさかい (台境)
台割りにより決められた折丁と折丁の境目のこと。貼り込みの箇所は台境が望ましい。
だいし (台紙) pasted board
<製本>(1)便箋・伝票などの裏表紙に用いる厚紙(「台天」という)。裏表紙に厚紙を用い「天巻き」する。(2)大型の豪華本の装丁に用いる本文台紙。絵画・写真・図版などを特両アート紙などに印刷再現した刷物を、ダイヤペークなどの特殊用紙の台紙に貼り位置を示すトンボを印刷して「額貼り」する。<印刷>レイアウトのための位置合わせ用紙。版下用台紙と刷版用台紙(紙・プラスチックシートなどにトンボとして窓をあけたもの)がある。
たいしつ (体質) body, base
レーキ顔料を製造する際、染料を染着させるために使用する白色の粉末。
たいしつがんりょう (体質顔料) body pigment/extender/filler
屈折率が小さい透明性白色顔料。レーキ顔料の体質・インキの性質を変えるための混和剤や増量剤として使用される。
たいせつしけんき (耐折試験機) folding endurance tester
紙の耐折強さを測定する装置。試験片に一定荷重をかけながら左右に一定角度ずつ折りたたみを繰り返し、破断までの回数を表示する。ショッパー型・2速ショッパー型・MIT型
紙・プラスチックフィルム・金属箔などが、折りたたみを繰り返したときに耐えられる強さ。
だいせん、だいせんばり (題、題貼り)
外題(げだい)のこと。外題を表紙に貼ること。
台違い improper loading
丁合機、中とじ入紙掛け機に折丁を積み込む際に、間違えた駒・鞍に折丁を置いてしまうこと。間違えたまま製本作業を続ければ、ページが順序どおり並んでいない乱丁本ができてしまう。「乱丁防止装置」が発見してくれるが、積み屋に間違えを起こさせないような工夫(「台分け」や折丁結束紐を台ごとに色別にする、駒・鞍に見本の折丁を掲示する等)が何重にも施されている。積み屋も「指さし呼称」等の手順を守ることでミスのないように努めている。
だいてん (台天)
裏表紙に厚紙を用いて天巻きした伝票。
上製本の背固めの一種。中身の背に寒冷紗・しわ紙を貼り、表紙の紙に接着し密着させてくるむ様式。角背の大型の上製本や絵本などに採用されることが多い。 印刷 表紙くるみ。
だいとびら (題扉) title
とびら(扉)と同義。→とびら
和本仕立方の帳簿にあたる。商家で売買の元帳・台帳などに使っていた。旅日記や宿帳・奉加丁・寄付金名簿などにも使われていた。仕上がり寸法は天地5寸(16cm)・左右一尺一寸(36cm)の麻の葉綴じ。
たいまし (大麻紙) hemp paper
大麻の繊維で作った紙
だいようはく (代用箔) imitation foil
金箔の代用にする箔類。ガラ箔、粉箔、着色箔など。
ダイレクトメール (DM) direct mail
通販(通信販売)カタログ、通信教育の教材、広告宣伝の郵便物、アンケート類、官公庁・銀行・証券会社等の貼り合わせになったハガキ、消費者に直接送られる印刷物。製本、特殊印刷加工により、ハガキ・封筒・箱入り等、物流にのりやすく、しかも消費者の関心を惹くような仕立てになっているものが多い。発行部数も大量である。DM類を製本加工する製本所は、顧客名簿をあずかり発送業務まで社内に取り込もうとしている。セレクティブ・バインディングが実用化し、インクジェット装置(可変印刷)が製本ラインに組み込まれるようになっている。ビジネスフォーム印刷機や紙折り機でもDM製造する。
折丁は丁合機・入紙掛け機に積み込みしやすいように、それぞれ該当する台の近くに配置する。1枚のパレットに複数種類の折丁が混載されている場合は、それぞれの駒・鞍のそばに置いた作業台等の紙のせ場所に積み替える。装架要因(積み屋)が取り違えしないように、乱丁予防のための現場の知恵である。工場内の整理整頓と同根の発想による。 台分けを徹底するために丁合機の駒の幅とパレットの幅を同じに揃えて、折丁のパレット積みが丁合機のすぐ近くに置けるように工夫している製本所、あるいはパレットから折丁の結束を一束ずつ台のそばに置いた作業台に移し結束紐を切って折丁束を丁合しやすいように紐締めからいったん開放するとともに目通ししておく製本所等、装架要員が取り違えしないように各社さまざまの工夫をしている。また、折丁を台の違いに応じて異なった色のバンドで結束し、台分けのさいに折丁の配給係が一目瞭然でわかりやすく工夫している例もある。丁合台数の多い場合、両側丁合(丁合機の前後から折丁を装架)する製本所もある。この場合は丁合機の前後にパレットを置けるスペースをあらかじめ用意して台分けし、台の近くに所定の折丁が来るように工夫しているわけである。また2駒を1台分にあて、折丁を取るスピードの倍速で丁合コンベアを走らせて高速丁合する。丁合2駒に1パレットずつ台分けできるので、取り違いの予防がさらに徹底する。→大分け
だいわり (台割り)
「台割り」は本1冊分を、何台の印刷機・折り機等に分散して印刷製本するか決める本の設計書に相当する。印刷は印刷機の機械台数、製本は折り台数で分ける。
(せが)たかい (背が高い)
→背が高い
たくはいでんぴょう (宅配伝票)
4~5枚の複写伝票であり、荷物に貼り付ける荷札もセット伝票の中の一葉としていっしょに作られる。宅配便が使うものが「宅配伝票」だが、同様の物流システムである「宅急便」等の運送伝票は、宅配伝票と同様の伝票設計になっている。デパート、スーパー等の配送伝票も同じ仕組み。POS、OCR、MCR等に対応した伝票の代表的なものが宅配伝票である。
木や石、または石碑や器物に刻まれた文字・文様を紙に写し取ったもの。その方法に湿拓と乾拓とがある。「石摺り(いしずり)」「搨本(とうほん)」ともいう。→石刷り
竹製のピンセット。箔箸(はくばし)、本金箔(3寸四方)を挟むときに使用する。
たけべら (竹箆) bamboo spatula
枚葉印刷紙を手折りするときに使われる孟宗竹製の小道具。長さ240mm・幅50mm・厚さ2mm。和本用は「かけヘラ」である。
たけゆびわ (竹指輪) bamboo ring
二つ折り・三つ折りなどの折りつけに用いる。紙折りのあとのプレスにあたる。折り目をはっきりさせるため。真竹製。長さ40mm・内径18mm前後の指輪になっている。
ダストカバー dust cover
本の表紙をくるむジャケット・カバー
たちいた (裁ち板) cutter plank
手庖丁などを使うときの台板。糊貼り作業(貼り合わせ)、はじめ手作業の多くがこの板上で行われる作業板でもある。桂や朴材のような木目の均質なもので作ったものがよい。
たちおとし (裁ち落とし) offcut
全紙から所要の印刷面を切り取った残りの紙。製本の仕上げ断ちのときにできる裁落。
印刷面を切り取った残りの紙。
たちきり (裁ち切り) blead
写真・挿絵・図版などが仕上げ寸法より大きめに印刷され(絵柄が正常な版面からはみだし)ていて、仕上げ断ちの際に絵柄を裁ち落とすことがある。レイアウトのときにあらかじめ絵柄の一部が裁ち落とされることを意図している場合がある。
伝票・ノート等に印刷してある罫線が裁ち切りになり、余白を残さないこと。→囲みケイ
たちしろ、しあげしろ (裁ち代、仕上げ代) cutting margin/trim off/trimming margin
断ち代分として、背を除く天・地・小口の仕上がり線より3mm外側にある線。刷り本の断ち割り(大断ち)部分を示す線でもある。仕上がり線で絵柄を断ち切りしようとすると、紙折りのさい多少のずれが生じる。小口側にずれた分だけ白くふちが付くので、あらかじめ絵柄を断ち代の線まで延ばして入れる。上製本 印刷表紙の場合は、絵柄を表紙の貼り上がり寸法と折り返し寸法を加えた寸法の外側に断ち代線を引く。
たちぼうちょう (裁ち庖丁) cutting knife
手庖丁と同義。→手庖丁
付け合わせの印刷分の場合、あら切りがそのまま化粧裁ちになる場合をいう。「一本断ち」ともいう。1枚の印刷紙の中にペラの口絵になるもの、折丁にするもの、あるいは2台分の折丁が一緒に印刷されていることがあるので、それぞれに断裁(断ち割り、断ち分け)して後工程に行く。A全判にはA5判・32ページ、B全判にはB5判・32ページの面付が通常の1台分として印刷されている。製本所はこれらの刷り本を加工するために、16ページ単位のものでは二裁に大断ちし、8ページ折りでは四裁に、4ページ折りでは八裁断ち分けする。その他、三つ折り・観音折りなど特殊な折り仕様の場合はそれぞれの指定の寸法に断ち分けされ、ダイレクトに丁合機にかけられる。付け合わせした印刷面の間に「ドブ」がとってある場合は、断ち割りしただけでは仕上げ断ちにならない。
抄紙の際の紙の繊維の流れの方向をいう。これに直角の方向を横という。横
伝票・帳票、カレンダー等の枚葉紙(ペラ丁)を丁合する。丁合機の駒が横に並ぶのではなく、棚のように縦に積まれている。手作業で行う棚丁合(つまみ丁合)を機械化した。立型丁合機の丁合ポケットは「段」で呼ばれ、5~8段あるのが一般的。B5~A3判の刷本が積める。最近はペラだけでなく、1折・2折の折丁、ミシン入れした刷本も積める。2連・3連と連結してページ数の多いものも処理できるようになっており、さらに綴じ機(平とじ・中とじ)・背巻き機・折機等と連結してライン化する製本所もある。刷本が比較的小さな軽印刷物の製本に、立型丁合機が多く使われている。「タワー」と名付けた立型丁合機もあるように、立型のため設置スペースが少なくてするのが利点。ただ1段に積める枚数におのずと限度があり、刷本の供給が忙しい、最上段への供給には踏み台にのぼる機種もある等の不便な点もある。
メーカー 内田洋行(株)、デュプロ(株)、ホリゾン(株)、渡辺通商(株)、CPボーグ
たてさんぽうけしょう (縦三方化粧)
最大寸法を目的とした白紙の化粧断ちの方法。
たてさんぽうけしょうにどだち (縦三方化粧二度断ち)
寸法統一、菱形修正、紙粉除去を目的とした白紙の化粧断ちの方法。
たてつきあて さんぽうけしょう (縦突き当て三方化粧)
寸法統一、菱形修正を目的とした白紙の化粧断ちの方法。
(かみの)たてほうこう (紙の縦方向) machine derection/grain derection
抄紙のときに紙の流れる方向。紙繊維は縦方向にながれるものが多い。
たてぼり (縦彫り)
表紙づくりのうちの箔押し作業の一種。
たてミシン、たてよこミシン (縦ミシン、縦横ミシン)
ミシンを入れる方向。「横ミシン」もある。→切り取りミシン
抄紙のさい漉き網の上を紙料が流れた方向に沿って長く断たれたものを縦目という。その反対に機械幅の方向に長く断たれたものを横目という。紙の目を見分けるには、用紙の端を細長く切り取って水に浮かべる。紙片はカールするが、カールの軸になった方向が紙の目方向ということになる。枚葉紙は全紙寸法の長辺に繊維が平行に流れている紙を縦目(T目)、短辺に平行に流れている紙を横目(Y目)という。包装紙にくるまれた状態ではラベルが長辺側に貼ってあれば中身の用紙は横目の紙、短辺に貼ってあれば縦目の紙であることを示している。また寸法表示で「短辺×長辺」は縦目、「長辺×短辺」は横目であることを示している。本に使われる印刷紙の目は、本の天地の方向に平行(縦目)になるようにする。紙は湿度の変化によって目と直角になる方向に伸縮するから本文紙の開閉が柔軟で扱いやすくなり、長期間の使用や保存に耐えられる。反対にノド(背側)に向かって直角になる目(横目)を使うと紙の伸縮が逆方向になり、背固めされた本の背は弓なりに湾曲してノド際にしわが出る。本文紙の開閉が硬くなり、背割れや背剥がれが起きる。横長製本の場合は普通の縦長製本とは逆目の紙になる。→紙の流れ目
チツ(帙)に似た包み用の厚紙。厚地の紙に柿渋や漆などを塗り、折り目をつけてたたむようにした包み紙。
たとうし (畳紙)
和紙に柿渋(かきしぶ)などを塗り、四方から折り畳む厚手の包み紙。結び紐を縦に1本・横に2本付ける。和服類の包装には一般には無地の鳥の子和紙を用いる。芯に板紙を使い布クロスなどで装丁したもので、畳紙形式の「つばくろ」がある。
たなちょうあい (棚丁合い)
刷本を数段の棚に乗せて、下の棚から上の棚へ紙の端をつまんでする手丁合の方法。比較的大きな判や薄葉を丁合いするときに行う。これを機械化したのが立型丁合機である。
たなちょうあいき (棚丁合機)
ダブルリングとじ (ダブルリング綴じ)
ダブリ double/mackle
同一版の印刷画線が二重三重にずれて印刷される現象。
タブレット tablet
粘土板に楔形文字が刻まれている。紀元前4000年頃、カルデアで行われた法律・契約書等。
タブロイドばん (タブロイド判) tabloid paper
A4、B4判程度の大きさの新聞。一般紙・スポーツ新聞等の大きさはブランケット判。中とじ入紙掛け機械で丁合をとり(針金は打たない)、枚葉印刷した刷本でページ数の多いタブロイド判新聞をつくる製本所もある。シカゴトリビューン(Chicago Tribune)がニューヨークで小形の絵入り日刊新聞を発行したのが最初(1919年)。
(おりきの)たま (折機の玉)
折機の紙搬送する箇所に置かれているナイロン(または鉄)のボール。直径1インチ、8分6インチ、8分5インチのものがある。紙の移動を促し、針に寄せる働きをする。ナイフわきに直線に並べられた場合と斜めに並べられた場合がある。バキュームベルトで玉の代替にする折機もある。
だましだまし・・・・・・する (騙し騙し・・・・・・する) try every trick in the book
くせのある材料、補修が十分でない機械等を現物あわせしながら作業を進めていく。だまし、だまし使う、なだめながらなんとかするという経験によって得た知恵だが、その場をしのぐことができたとしても根本的な解決にならないことが多い。製本所としては、騙してでも臨機応変に対応できるベテランが実務には必要だが、問題のある箇所を根本的に解決しようとする問題意識を失ってはならない。
だます (騙す) deceive
くせのある材料などを直しながら使用に適するように慣らすこと。
ダミー dummy
→束見本
だめ (駄目) useless
材料や仕事が目的どおりに適しないような場合のことば。
ためしおり (試し折り) test folding
刷り本から1枚抜き取って試みに折り、ページ順序を確かめる。また印刷版面の割り付けを確認する手法。紙折り機で折り始める前に、ためしに何枚か折って折り見当を確認すること。
ためんがけ、ためんつけ (多面掛け、多面付け)
1枚の印刷用紙の片方の面に多数のページ分が印刷されるように面付けすること。同一の原稿がなん面もかけられている多面付けもある。大判ポスターや小形印刷機で印刷したもののように1枚の用紙にそれ一つだけが印刷される場合との違いである。「面掛け」「多面付け」ともいう。8面掛け・16面掛け・32面掛けなどの面付け数の多いものをいう。
だるま (達磨)
両面印刷で片面ずつ印刷するとき、表面を印刷したときの咬え・咬え尻の逆転は生じる。このような面付けを「だるま掛け」「どんてん掛け」という。製本所で断裁するときには、片方の咬えを揃えて断裁したあと裏返してもう片方の咬えを揃えなおして断裁する。このようは断裁方法を「がんどうがえし」とよぶ。
たれかわびょうし (垂れ革表紙) circuit edge/gate folded cover
書籍の表三方のチリを大きくして小口にかぶさるようにつくった製本様式。まる表紙(薄表紙)のチリを中身の厚さの半分より少し大きめに折り曲げ、中身の三方を保護するようにした。総革表紙のバイブル(聖書)などに多い。「こば折れ表紙」ともいう。
だん (段)
1ページ分の各行を2段あるいは3段・4段に区切ったとき、その区切りを「段」。段と段との空きを「段間(だんかん)」という。「段組」は1ページを2段・3段・4段などに分けて組む組み方。段と段とを区切る罫を段罫、段間罫という。
たんか (単価) unit price
生産工程を積算して、製品数で割った単位あたりの料金。直接経費・間接経費を原価計算するさい機械の償却、古紙の処理料、運賃等のサービスになりがちな経費に要注意。
だんぐみ (段組み)
ページを2段以上に組むやり方でタテ組み、横組みにかぎらず、2段以上の組み版は「段組み」という。段組みは活字の収容量や造本の体裁上から行なわれることが多く、段をつけない組み方を段ぬき、または通し組みという。
編集ソフトではコラムと呼んだりしている。
たんこうぼん (単行本) separate volume
単独で出版する本。全集、叢書
だんさい (断裁) cutting/trimming
断裁機、断裁作業、断裁オペレーター、くりかえし断裁、三方断裁のように、製本所では「断裁・・・」「・・・断裁」という言葉が多く使われる。製本工程において、断裁作業が頻繁にくりかえしおこなわれることを反映したものである。ときどき「断才」「断截」のように「裁」にかわって他の文字を使って「断裁」にあてようとしているのを見かける。会社名等の固有名詞はともかく、製本業界は「断裁」の表記に揃えたい。また、「裁断」は布地を断ち切る意味、判断をくだす意味であり、製本業の「だんさい作業」は「断裁」と示されるのが妥当である。この用語事典は「断裁」に表記を統一した。また「断裁」の意味で「たつ」「たち」も頻繁に言われる。「裁つ」「裁ち」の表記よりも「断つ」「断ち」に揃えた。
だんさいき (断裁機) cutting machine/paper cutter/guillotine cutter
突き揃えして積み重ねた紙を所要の寸法に断裁する。刷り本の断ち割りや仕上げ断裁のほか、別丁(付属印刷物)・クロス類・板紙などの断裁を行う。次のような機械からなる。制御盤(control panel)、紙締め装置・クランプ(clamp)、突き当て・バックゲージ(back gauge)、圧力調整器(calibrated pressure adjustment to clamp)、定盤・エアテーブル(cutting table)、照明された断裁目盛り(illuminated cutting scale)、断裁包丁(cutting knife)、始動装置(starting device)、光電管安全装置(photoelectric tube safety device)などがある。
現在稼働中の断裁機は1万台といわれる。内、製本所が使用しているものは5~6千台(1社2台平均2500社の見当)。手回し、手引き、動力、手締め、自動締め、光電管安全装置付き、油圧、高速、記憶装置付きと進歩を重ね、現在はコンピューター搭載・カラーディスプレイ表示・液晶タッチパネル等のものが発表されている。また断裁周辺装置の開発・普及も著しく、スタッカー装置・降ろし装置をはじめ、付き揃え機への紙積み・突き揃え・定盤上での紙回し・断裁紙の積み上げ等、周辺作業を含めた断裁全作業をシステム化する方向が続いている。
メーカー 朝田機械(株)、(株)イトーテック、(株)勝田製作所、(株)共同精機、(株)永井機械製作所、(株)橋本マシナリー、(株)樋口鉄工所、(株)ホリゾン、(株)三浦鉄工所、(株)柳田機械製作所、余田機械工業(株)、ポーラー(ハイデルベルグPMT(株))、ボーレンベルグ((株)イリス商会)、シュナイダー(大日本インキ化学工業(株))。
だんさいじょうぎ (断裁定規) cutting stick
→定規
だんさいチェックそうち (断裁チェック装置) trim monitor
→化粧断裁
だんさいのすんぽうふぞろい (断裁の寸法不揃い)
寸法不揃いとなるカット現象には、かぶり(アンダーカット)、にげ(オーバーカット)以外にもホロウカット、中凹カット、波状カット、弓形カット、波打ち現象等がある。中凹カット、弓形カットの原因は断裁刃のひずみ(歪み)が原因。波状カットはコバの状態が波が起伏するような感じでカットされたもので、0.5mm以上の狂いが生じた場合が対象。カール等の紙癖、紙厚の厚薄、ナイフの歪み、刃角度が紙質に適していない、クランプ圧の片効き等が原因と思われる。波打ち現象は、紙積みの切断面に凹凸の模様が残り、撫でると平面的な滑らかさがない。刃角度が紙質に適していないためと思われる。
だんさいほうちょう (断裁庖丁) cutting knife
断裁機(平断裁)、三方断裁機、ボールカッター、ロールカッター等に取り付けられたナイフ。断裁刃には、特殊銅(SKS)、ハイス(SKH)、超銅(GK)がある。超銅(GK)はハガネではなく、タングステンと炭素の粉を焼き固めた非常に固い素材により刃部分がつくられている。焼き入れのきかない付け刃もので耐摩耗性に強い一方、欠点としてはモロく欠けやすい面を持っている。研磨がきかないので使い捨てになるが、ハイスの15~20倍長持ちする。ハイス(SKH)は、上質紙・コート紙・アート紙等に適し抜群の切れ味と耐摩耗性を持っている。硬度はJIS規格Hs85゜~90゜であり、特殊鋼の約2倍長持ちする。特殊銅(SKS=特殊合金鋼)は、軟質紙、和紙等に適し、断裁面は美しく仕上がる。硬質紙にも刃角度を矯正すれば刃こぼれもなく、よい特徴を持っている。硬度はJIS規格Hs83゜~88゜。
摩耗しているナイフ刃先で強引に断裁した場合、紙切り口面(コバ)は、かぶり(アンダーカット)、にげ(オーバーカット)、ホロウカット(にげ・かぶり)、段々カット、紙と紙とのくっつき現象、紙粉現象等のトラブルが発生する。
メーカー 兼房(株)、木村刃物(株)、(株)東京製作所、東研刃物(株)、福田刃物(株)
タンザック
新しいカレンダー製本の商品名。金具やプラスチック等、廃棄しにくいものを綴じ材料に使っていないので、熱圧着カレンダーとともに年々採用が増えるものと見られている。(1)丁合カレンダーの天とじ部(上端から5mmくらい)にホットメルトを注入する穴を多数あける、(2)次のステーションにカレンダーは送られ、穿孔箇所にホットメルトが注入される。(3)さらに天とじ部を短冊状の厚紙がくるんでプレスする。(4)ミシン穴・天吊りの穴も穿孔して製本作業を完了する。 メーカー (株)彩光・渡辺通商(株)
1枚ずつ単独に記入して使用する伝票。1冊に伝票製本しているが、1枚ずつの紙葉は同一の様式に印刷されている。裏カーボンは印刷されていない。また紙葉間にカーボン紙をはさんで複写をとる必要がないので、製本のさい下敷き・カーボン紙等のセットは要求されないのが普通。用紙は、上質紙・筆記用紙・更紙・薄葉紙・タイプ紙・薄模造紙等が使われる。表紙・台紙以外、中身の伝票用紙は同じ紙質に揃っている。一定枚数を背固めしてマーブル紙で巻いて仕上げる背巻きが多い。背固めだけでマーブル巻きのないものもあり、天糊には着色接着剤を使用する(色糊・色天)。表紙を背の部分で裏面に折り曲げて台紙と貼り合わせる便箋巻きの様式、背固め後、針金とじしクロス巻きする針金とじの様式等もある。便箋、メモ、レポート用紙、原稿用紙、届出用紙、入紙金伝票、仕切り書、請求書、領収書等が「単式伝票」である。
だんじるし (段印)
背標のこと。「がんならび」ともいう。→背標
タンニンなめし (タンニン鞣し) tannin leather
動物の生皮を化学薬品を使ってなめした。装丁用の革は少し硬めの方が作業性がよいのでタンニン鞣し(渋なめし)の革が使われる。
たんばん (単番)
伝票のナンバー打ち方の一種。→整理番号
だんボール (段ボール) corrugated board
主に外装に使われる包装用の板紙の一種。波形に変形した中芯の片面または両面にライナーを貼った。片面段ボール・両面段ボール・複両面段ボール・複々両面段ボールがある。段の細かさによってA段・B段・C段・E段などに分けられる。段ボールを箱にするためには、プリンタースロッター(printter slotter)という機械で印刷と溝切りを行い、ホルダーグルアー(folder gluer)で折り曲げて耳を糊で接合する。接合部はこのほか、ステッチング(stitching)によるもの、ガムテープによるものがある。表面を白くしたり着色したもの、耐水加工を施した耐水段ボールもある。破裂強さにより5段階あり、収容する内容物の重量を規定している(JIS Z 1506)。破裂強さの大きい段ボールには、波状の板紙の両面に強靱なクラフトライナーを貼り合わせる。
だんボールいんさつき (段ボール印刷機) flexo printer slotter
初期の段ボール印刷は、油性インキを用いた凸版印刷で行われていたが、近年は乾燥の早いフレキソ印刷が採用されている。フレキソ印刷・ダイカッター・クリーザスロッター・フォルダーグルアを直線的に配置して、印刷と製函をインライン化したコンビネーションマシンが多い。
ダンミー dummy
書籍などの体裁見本
たんろくばん (丹緑版)
江戸時代の刊本。木版本の挿絵を紅と緑で色刷りしてあるのでこの名称がある。