ピーアールし (PR誌) public ralations
企業や団体などが消費者・ユーザーや株主・学生等を対象に発行する雑誌。企業紹介、求人案内、商品カタログ等、商業印刷物の性格が強い。
ピーエスばん (PS版) pre-sensitized
プセンシタイズドの略。あらかじめ感光剤が塗布されている版材。これにフィルム原稿が焼き付けられ、刷版として印刷機に搭載される。オフセット印刷用。凸版用のものはPS凸版という。
ピーオーピー (POP)
→ポップ
ピーシーエス (PCS)
ピーティーオーいんさつ (PTO印刷)
昭和50年代の軽印刷。フォトphoto、タイプtype、オフセットoffsetのイニシャルをとった。
ビーばん、ビーれつ (B判、B列)
→紙の寸法
印刷したあと、光沢や耐水性を持たせるため、ポリポロピレン・フィルム(polypropylene film)を接着剤で圧着加工すること。変色しにくくなる。雑誌の表紙、カタログ・パンフレットなどに多用される。→ビニール貼り、ラミネート
ピーユーアールせいほん (PUR製本)
ひかく (皮革) skin lather
「皮」は動物の毛のついた皮。「革」は動物の毛皮を薬品を使ってなめしたものをいう。製本でつかわれるのは、なめした「革」である。
ひかりディスク (光ディスク) optical disc
樹脂形成された円盤に金属膜などの記録層を設けて、デジタル化した画像・文字・データーなどの情報をレーザー光線で記録・再生するレコード盤のような記録媒体。音楽用のコンパクトディスク(CD=compact disc)、映像用のビデオディスク(VD=video disc)などがある。データの記録密度を光の波長程度まで高められ高密度記録ができる。
ひかりの3げんしょく (光の3原色)
可視光線(電磁波のなかでわかりやすく目に見える光)のうち、もっとも波長が短いのは紫(Bブルー)、次が緑(Gグリーン)、もっとも長いのは赤(Rレッド)。これらの3光を等分に混合すると白色光になる。
ひきこみちょうあい (引き込み丁合い)
ノート等細長いものを丁合いするとき、高低をつけて積み上げ、両手で同時に手前へ取り込む手丁合。
紙を引き裂くのに要する強弱をあらわすのに用いる。JISP8116紙の引き裂き強さテストがある。
ひきだしべっちょうおり (引き出し別丁折り)
→投げ出し
ひきめ (引き目)
書籍製本で折丁の背に引き目を入れて、手で糸とじしたり簡易無線にした。この引き目は和本の角裂を貼るときの見当とする。→目引き
ピキング picking
紙むけのこと。印刷作業中に起こる印刷インキおよび紙自体による故障の一種。紙の毛羽だちもその一つである。
ビクぬき (ビク抜き)
紙器・紙工品、見出し抜き等、断裁機で直線に切ることのできない加工は、打ち抜きする。刃のついた抜き型を合板のプレートに組付け、ビクトリア打ち抜き機で型抜き加工する。活版印刷機に抜き付けて同様の作業をすることもできる。
ひし (斐紙)
薄葉紙の一種で、雁皮紙(がんぴし)のこと。書画のすきうつしに最適である。みつまたを原料とする上質紙。
事務用の帳票類。OCR、連続帳票、連続伝票など。一定の書式を持った事務用印刷物の総称。手書処理用の帳票とコンピュータ処理用の帳票がある。(1)単票フォーム。手書きまたはタイプ印字する帳票。複数枚からなる複写式のものもある。(2)カードフォーム。統計・会計処理等のために穴をあけて用いるカード。(3)ユニットセットフォーム。単票フォームの一形式で引っ張ると用紙のみがミシン目から切り離される帳票。(4)OCR・OMR票。文字・記号等を光学的に判読してコンピューターに入力処理するための帳票。(5)MICR票。文字・記号を磁気的に判読してコンピューターに入力処理するための帳票。(6)連続フォーム。コンピューターのアウトプット用紙として数字・文字・記号等を印字するために用紙の両端に12.7mmごとの等間隔に約4mmの穴をあけ、一定間隔ごとにミシンを入れて折り畳まれた連続した帳票。「ビジネスフォーム」とは広義には、(1)~(6)全般を言うが、狭義には(6)連続フォームを指す。(6)連続フォームには、連続封筒、通帳等も含まれる。
ひじわ wrinkle
不均一な乾燥等のために生じる紙の欠点。「ちりめんじわ」とも言う。
ビスどめ (ビス止め) mechanical bind
見本帳やアルバムのように中身の紙質が厚く、堅牢さが求められる本の綴じ方の一つ。中身に1穴、または多穴を明けて専用のビスを使いネジ回しで締めて綴じる。
→右開き
左開きの本に貼り込みする際、左側の小口に糊付けして貼り込むこと。→右見当貼り
ヒッキー hicky
版面かブランケットの画線部に固形の異物が付着したことにより、印刷物のところどころに環状(ドウナツ状)の白抜けの斑点ができることがある。ブランケット洗浄が不十分でインキの乾燥皮膜が混入した場合、紙のカッターダストや紙粉が版に付着したなどによって起きる。
ピッキング picking
インキの粘着力が紙の表面強度より強いときに発生する毛羽立ち、紙剥けのこと。
ひっきようし (筆記用紙)
填料(注1)を混ぜないで、サイズをきかした筆記適性の紙(注2)。バンク紙・ボンド紙・複写用紙などがある。(注1)紙の抄造の際にパルプ液中に添加する鉱物性の粉末。(注2)以前はボールペンでなく、万年筆などインクを使っていたのでノートや書簡用紙はインクがにじまない様にしていた、昨今のインクジェット用のプリンター用紙と同じことが云える。
ひつじかわ (羊皮)
「ヤンピ」という。→パーチメント
一定幅および長さの紙片に荷重を加えていき破断するときの強さ。紙は原料や叩解の程度・坪量などによって引っ張り強さが異なる。
ビデオしゅっぱん (ビデオ出版) video publishing
ビデオを利用した出版。映画やTV番組、技術解説、アニメ、スポーツ等々、印刷媒体では表現しきれないものがビデオ出版され、急速に点数・部数を増やしている。
ひとこま (一駒)
手でつかんで作業ができるくらいの単位量。1駒単位に締める作業は「ひとこまじめ」という。
ひとこまじめ (一駒締め)
一と駒を単位に平締めすること。→再均し機
ひとこまじめき (一駒締機)
平締めを行う機械。
ひとしめ (一締め)
和紙2,000枚を一包みとしたもの。
ひとやまノート (一と山ノート)
ノートの背が、一山でできているもの。二山、三山、四山などがある。→丸山
ビニール vinyl
ビニール化合物の重合によってできる合成樹脂の総称。塩化ビニール(塩ビ)、酢酸ビニール(酢ビ)、および塩ビ・酢ビの重合体。可塑剤、安定剤を加えて押しだし加工し、フィルム(0.2mm以下)やシート、あるいは紙や布に塗布して用いる。包装材料、手帳の表紙、書籍のカバー等に用いられる。
ビニールクロス
ビニールクロスを表し材料にした表紙。
印刷面の保護・光沢加工のために印刷面に薄い塩ビフィルムを貼ること。書籍の表紙・カバー(ジャケット)、製函の印刷紙などがビニール貼りされている。PVCフィルムの厚さは0.03~0.05mm、接着剤は合成樹脂系である。印刷物に接着剤を塗り、乾燥後加熱・加圧する方法と、未乾燥の状態で常温加圧する方法とがある。PPフィルム貼りは、箔押しや貼り加工の必要のないカバー(ジャケット)・表紙・箱・レコードジャケットなどに用いる。→PP貼り、ラミネート
ビニールびき varnishing/varnish coat
ビニール貼りと異なり、印刷機でもニス引き等の加工を行うことができる。印刷面に光沢を与え高級感・付加価値を高める。ビニール引き用ニスは塩ビ・酢ビ・アクリル樹脂である。ロールコーティング、グラビアコーティングで印刷物の表面に塗布される。光沢加工のためだけでなく耐熱性・耐ブロッキング性・耐摩擦性なども印刷面に付与できる。
ビニールびょうし、ビニールカバー (ビニール表紙)
ビニールのシートで表紙をさらにくるむジャケット。片袖、両袖のほか袖なし(ポケットなし)で表紙をくるむだけのもの等がある。 メーカー 大比良工業(株)
ひねり本
さまざまに意匠をこらし、趣向を工夫してひねった本。また、好事家相手に値段をひねって高く売りつける本のこと。
ビヒクル vehicle
インキがよく伸びて紙に安定するようにインキに混合されるもの。アマニ油、ワニス、樹脂ワニスなど、早く蒸発して乾燥するものがよい。ベヒクル。
ひほん (秘本)
大事にして、あまり人に見せない本。
びほん (美本)
その名の通り、装丁の美しい本。印刷がきれいで写真・挿絵などの多いもの。
ひめのり (姫糊)
澱粉糊。米を煮てつくった。「そくい(続飯)」は保存用・携行用に炊いた飯粒を乾燥させたもの。これを煮て糊状にすれば姫糊になる。
ひめくり、ひめくりカレンダー(日めくり、日めくりカレンダー)
名前どおり1年間365日、365枚を1冊にしたカレンダー・暦。薄用紙、片面印刷(裏白)、天クロス巻き、台紙付き。台紙には吊り下げ用の穴明けというのが「日めくり」の普通のスタイルである。
ひゃくまんとうだらに (百万塔陀羅尼)
刊行年代がはっきりしている世界最古の印刷物。日本に現存する。764年孝謙天皇の発願で陀羅尼経典を全国の国分寺・国分尼寺におさめた。印刷したお経を木製の小塔に安置したもので、実際に全部の寺におさまったのは770年(称徳天皇)までかかった。
ひゃっかじてん (百科辞典、百科事典) encyclopaedia
昭和30年代に百科事典の出版ブームがあった。平凡社・講談社・小学館・学研・旺文社などから全10巻、全20巻というような大部のものがつぎつぎ大量に出版された。上製本の黄金時代となつかしむ人が多い。欧米の百科事典ではブロックハウス(ドイツ)・ラルース(フランス)・エスパサ(スペイン)・イタリアーナ(イタリア)・アメリカーナ(アメリカ)・ブリタニカ(イギリス)などが著名。
ひょうし (表紙) cover/case
書物の中身の保護、内容の表示、装飾などの目的をもち、書物の体裁を決定ずける本の外装。上製本 表紙の様式は材料と仕立て方によって次の種類に分けられる。
ひょうしいれ (表紙入れ)
ノート製本で、中身と表紙を丁合いすること。
ひょうしくせとりき (表紙癖取り機) cover bending machine
貼り加工した表紙の反りを直す機械。表装材料に膠を塗布するといったん左右に伸び、乾燥してもとの寸法に戻る。芯紙と表装材料の伸縮率の違いにより反りが発生する。
上製本における「くるみ」に限定して以下に説明する。背固めした中身を別に仕立てた表紙でくるみ、外側のノドぎわにイチョウの刃先を強く押し当てて表紙と中身を接合させる。タイトバック、フレキシブルバック、ホローバックの3様式がある。<タイトルバック>中身の背に表紙の背紙に厚紙を貼って固くのりづけしてくるんだもの。表紙の背に中身が接着された形から丈夫ではあるが開き具合は固い。表紙の開閉によって形が崩れることはない。<フレキシブルバック>中身の背に薄紙を貼って表紙の背に直接に密着させた様式。開くと中身と表紙の背が一緒に曲がるから、表紙の背文字などが傷みやすい欠点もある。<ホローバック>一般的に行われているくるみ方。本を開くと背は表紙と離れているので、ノドいっぱいに開く。開閉が容易であり機能的に優れた様式である。くるみ方には2方式がある。①表紙の溝(みぞ)に接着剤を引いて背固めのときに貼った寒冷紗の端をみぞに密着させる溝入れ方式と、②表紙の背紙の部分に中身の背幅と同じ幅に貼ったクータを貼り、中身とクータの間に接着剤を引いてくるむ方式がある。大型の本や束が40mm以上の溝入れ方式、または革表紙を用いた突きつけ表紙をくるむ際クータを背に貼って中身と表紙を接合させるくるみ方式がある。クータはクラフト紙でつくった円筒。
ひょうしくるみき (表紙包機) casing-in machine
貼り加工や箔押しなどを終えた表紙が、背の本固めの済んだ中身を見返しに糊入れしながら自動的にくるみ、表紙と中身を結合させ、成型プレス機械を用いて表紙の溝入れと平締めプレスを同時に行う。コルブスコンパクトライン、スタールVBFラインが製本所で使われていて、単体としての表紙くるみ機の機能もライン中に組み込み、丸み出しバッキング-背貼り・背固め-表紙くるみ-成型プレスを一貫生産する。
ひょうしごしらえ (表紙拵え) casemaking
下ごしらえの表紙貼りのこと。
ひょうしそうしょく (表紙装飾)
本の題名、著者名、発行所あるいはイラストなどを表示加工することを表紙装飾という。
ひょうしばり (表紙貼り) casemaking
上製本の表紙製作。手作業による表紙貼りは、背の総空きに合わせたT字型の定規(分規)に当てがって貼る。作業手順は①クロスを角切り(落とし幅は板紙の2.5倍を残して切り落とす)して、熔解した膠をクロスの裏側に塗布する。②分規の左右両側に板紙を当てがい、板紙の上にクロスを折り返し幅を残して貼る。③裏返して、短冊状に断った背紙を背空きの中止に貼り、素早く軽く平締め密着させる。④締め機から取り出して裏返し、クロスの長辺を折り返して貼る。小口側になる短辺も折り返して表紙貼りは完了する。印刷紙を表紙貼りするか透かし貼り(箱貼り)もある。
ひょうしばりき (表紙貼機) casemaker/case-making machine
板紙を吸いつけて、吸紙ヘッドが左右に半回転するスマイス、コルブスのタイプと、貼り材料を平行に運ぶ高速回転型のデキスター形式の2種類がある。表紙貼り機は、ボール給紙部、ピックアップ・サッカー部、膠槽、(にかわ付け部)表紙シリンダー、ドクタープレート、吸紙ヘッド、表紙材料を繰り出すテーブル、加圧機構、排出テーブルなどからなっている。 メーカー・商社 エスケイセールス(株)、兼松産業機械(株)
ひょうしプレス (表紙プレス) cover aligning and pressing
無線とじでは、本の背に糊が塗布された後に表紙が本の背に付けられるが、中身の背と表紙の接合を十分にするためにプレス加工する。中身がはさまれたクランプの移動にタイミングを合わせて、カバープレスステーションが下側からプレスする。本の両脇のノドの部分も両側から同時にプレスされる(サイドプレス)。プレスステーションを2ヶ所、連続して設け背の成型に万全を期するツープレスも行われている。
ひょうしまき(表紙巻き)
「びんせん巻き」のこと。
ひょうじゅんしあげすんぽう (標準仕上寸法) standard size
紙・書籍・雑誌・事務用紙などの仕上げ寸法を標準化したもの。→紙の寸法、紙加工仕上げ寸法
ひょうしようし (表紙用紙) cover paper
表紙に適性した紙。本文用紙と異なり、摩擦などの各種の取り扱いに耐え、美しい外観をもつことが要求されるので、厚手の紙、各種の加工を施した紙などが利用される。
ひょうだい (標題) title
書籍などの題名。ふつう表紙の平および背、とびらに表示する。印刷か箔押しが普通だが、別刷りした紙片をはりつける貼り標題もある。
ひょうだいし (標題紙) title page
扉のこと。標題、副標題、著者名、出版所、発行年月日等が表示されるが、奥付ほど詳細な出版データを掲載するわけではない。→とびら
びょうぶおり (屏風折り) zigzag fold
平行に四つに交互に折る。
ひら (平) front face
表紙の背・小口以外の部分をいう。表紙の平。→本の部分名
ひらき (開き) open
本を閲読するときなど、紙葉をノドの部分までめくってみること。めくり具合によって、開きがよいとか悪いとかいう。→とじ
ひらじめ (平締め) pressing
上から圧をかけて締めること。「一駒締め」「プレス」等、平積みした木・折丁等を締め押す作業。→ならし
ひらとじ (平綴じ) side stiching
本のノドの近くを表面から綴じること。一般に針金とじをさすが、ミシン綴じもある。
ひらので (平の出) outside
継ぎ表紙の背革や背のクロスの一部が板紙の一部に出ている幅をいう。平に出る長さに規定はなく装丁者が決める。
ひらのもじ (平の文字) title
表紙の平に印刷・箔押しした文字。
ひらはく (平箔)
伝統的につくられた箔の総称。→巻箔
ひらばり (平貼り)
継ぎ表紙の平に貼る材料のこと。クロス類や特殊紙、和紙などが用いられる。
ピラミッドおり、かいだんおり (ピラミッド折り、階段降り)
特殊折りの一つ。折り上がった山と谷が階段状にずれている。→見出し、特殊折り
ひらめうち (平目打ち) punch
諸製本や創作製本などの綴じ穴を開けるときに使う。板紙のノドぎわにこの平目打ちで穴をあけ、綴じ紐(麻糸)を通す。
ひらめやまと (平目やまと)
和製本の仕立て方の一種。
ひらもじ (平文字) side letter
平の部分に箔押したり、印刷したりする文字のこと。
ひろげばり (ひろげ貼り)
折丁を開いて中貼りする方法のひとつ。四つ折りならば1度折り目、八つ折りならば2度折り目を広げて貼る場合を言う。二折りの広げ張りのみをいうこともある。
ヒンジしきみかえし(ヒンジ式見返し)
二つ折りした見返し紙を、糊どめした初台(または最後台)の8ページに巻き見返しして、中の16ページに糊付けする見返しの仕立て方。表紙をひろげたときに、この部分がジョイントになる。
びんせんまき (便箋巻き)
表紙を背の部分で折り曲げて裏面の台紙に糊付けする様式。
ピンホール pinhole
(1)針の先で突いたようなごく小さい穴。ベタ刷りなどでごく小さくインキのつかなかった部分をいう。(2)紙抄造のさいに微細な繊維やクレー粒子が脱落して用紙に生じた小さな穴。