こいろ (濃色)
→金箔
こうえつ (校閲) revision/proofreading
原稿や印刷物などを調べて、誤りを正し不備を補うこと。執筆者以外の監修者あるいは第三者によって行われる。校正は印刷面について点検するが、校閲では原稿の内容が検討の対象となる。
こうえつぼん (光悦本)
→嵯峨本
こうかい (叩解) beating
紙を抄造するための前処理工程。製紙用繊維を水とともに機械的に処理する。リファイナーやビーターと呼ばれる装置でパルプを水中に分散させて押しつぶし、切断する工程をいう。紙は叩解により強度・伸縮性・吸油度などの物性が変化する。
ごうかばん・ごうかぼん (豪華版・豪華本) deluxe edition
用紙、印刷などに特別の注意をはらい、ぜいたくな材料を使用して入念に製本した刊本。販売価格が特別に高い本でもある。限定出版されることが多い。最近の例では、イタリアの造幣・印刷局が1997年3月発行した『黄金の本』。本文60ページ、1枚3グラムの純金カード(縦142mm、横98mm)が30枚製本されている。2000部の限定出版で、1部3150万リラ(約235万円)。カードは純金を厚さ11ミクロンに圧延してラミネート加工し、表面にエジソン、ライト兄弟、アインシュタインら人類の歴史に貢献した人たちを肖像画入りで紹介している。肖像画や文章を表と裏の両面に印刷した純金カードを手漉きの高級紙であさみこんだ。カードは三菱マテリアル(株)の製品。
こうきじてん (康煕字典)
中国の康49年(1710年)、清朝第4代の天子康の勅令で編集開版された字典。わが国でもかって母型の原字を書く際の基礎的な資料とされた。
こうきとじ (高貴綴じ)
和本の仕立て方の一種。美濃紙以上の大きな和本に用いられる。大きな和本は、背の角の部分がめくれやすいので、これを防止と装飾をかねて、四つ目とじの天地の角を二重に増してとじる様式。
こうこうはい (口腔背) hollow back
丸背の一形態。硬背・柔軟背の有する欠点を避けるため、両者間に空洞(空間)を設ける造背法である。本の背に力がかからないので、その開閉が滑らかで読みやすく、背文字の保持にもよい。
ごうし (合紙) lining board
2枚以上の紙を貼り合わせること。印刷した紙(アート紙・板紙など)を板紙(チップボールなど)と貼り合わせて厚みや強度をもたせる。澱粉糊かエマルジョン型の水溶性接着剤を用いて貼り合わせる。ディスプレイ、大型カートン、幼児絵本、表紙などに使用される。絵本製本に「合紙絵本」がある。
こうしゅう いんでん (甲州 印伝)
繊維が緻密で柔軟な皮革。おもに財布や袋の素材として使われ、良質な羊革で作られる。書籍装丁用としてはインド南部の原産が良質とされている。甲州印伝は山梨県の特産品である。
こうしゅうはかんそう (高周波乾燥) high-frequency drying
50~100MHzの高周波を照射し、そのエネルギーを吸収した塗膜成分中の分子振動によって内部発熱をおこし乾燥をうながす。誘電率の高い水・アルコール・グリコールベースに限定されるが外部加熱に比べ水の蒸発効率がよい。エマルジョン型接着剤を使った無線とじ製本の乾燥に応用された。
こうしゅうはシール (高周波シール) high frequency seal
熱可塑性樹脂のシートやフィルムに高周波電界を与えると、内部発熱が起こる。この高周波による誘電加熱を利用してプラスチックを融着させる方法。電極の間に重ね合わせたシートもしくはフィルムをセットし、高周波を発振させ加圧して融着させる。誘電損失の高い硬質塩ビ・軟質塩ビ・塩化ビニルデンに適し、ポリエチレン・ポリプロピレンには不向きである。玩具・文房具・雨具・袋物・本のカバーなどに応用される。
こうしゅうははくおし (高周波箔押し)
2ポリ塩化ビニールなどを高周波の電界内におくと誘電発熱作用により内部発熱を起こす。これを利用して箔押しと高周波プレスを同じ金版で行うことで深く押込み、立体的な箔押しができる。美観に富み、耐摩耗性等も向上する。
こうしんばんごう (後進番号)
フケ(老)番から若番に印刷されること。→番号入り伝票
こうぜ (腔背)
ホローバックのこと。→表紙くるみ
こうせい (校正) proofreading
印刷物ができるまでの各工程で、間違いがないかをチェックすること。文字校正、色校正colorproofなどがある。
こうせいさいいんさつ (高精細印刷)
500線以上の線数を使った印刷のこと。きれいで鮮明な図柄が表現できる。また、高品位な印刷方法として、プロセス4色に光の3原色(ブルー、グリーン、レッド)を重ね刷りする高輝度印刷などがある。
ごうせいし (合成紙) synthetic paper
合成樹脂の繊維を主体に天然パルプを一部加え、天然パルプと同様に抄造されてできる化学紙。地図、防災テキスト等、水漏れしても耐えなければならない印刷物に使われる。合成紙は紙折りしても折り目がつきにくく(耐折強さが過剰)、製本所がそれぞれ独自に紙折りに工夫をこらしているところである。
ごうせいじゅし (合成樹脂) synthetic resin
比較的簡単な成分の原料から化学的方法で合成した、天然樹脂類似の高分子化合物。
こうせいずり (校正刷り)
色校正または文字校正のこと。箔押しでは校正見本出しを指す。「ゲラ」ともいう。
ごうせいひかく (合成皮革)
擬革の一種。合成樹脂で作った革に似せたもの。
こうちゃくざい (膠着剤) adhsive
→接着剤
こうちゅう (後注、後註)
文章や本の最後に入れる、補足説明・著者の略歴など。
こうちょくおり (交直折り) cross folding
折丁の折り目が直角に交差する折り方。「回し折り」「クロス折り」ともいう。書籍・雑誌では通常8ページ、16ページ、32ページ折りがある。
こうでんかん (光電管) photoelectric tube
光電効果を利用した電子管。陰極に光が当たると光電子流が流れるので、光の強さの変化を電流の変化に変換するのに使用する。印刷の見当合わせや断裁機等の製本機械に装備して物流の調整や安全装置などに利用されている。
ごうど (剛度) toughness
紙の腰などの、強弱をいい、曲げに対する抵抗力により測定する。
ごうどけい (剛度計) stiffness tester
紙・プラスチック等のこし等の強弱・曲げに対する抵抗力(剛性度)を測定する試験機。試験片を一定角度屈曲させるのに必要なモメント(g/cm)を剛度と定めたテーパー法が代表的である。ほかには、曲げ応力を基準としたクラーク法、一定角度に保持した試験片が垂直に保持された指針を回転する角度を基準としたガーレ法など。「柔軟性試験」とよばれるテスターがある。→強度
こうはい (硬背) tight back
丸背の一様式。本の表紙が中身と密着している形態。堅牢ではあるが、本の開閉ごとに背に圧力がかかるので、背文字を損する恐れがある。
こうはん (孔版)
謄写印刷・タイプ孔版・スクリーン印刷などがこれに属する。凸版・平版・凹版と孔版が「印刷の4版式」。
こうりょう (校了) OK/imprimatur
校正が完了すること。
こうやばん (高野版)
古い刊本の一つで鎌倉時代(1185~1333)以来、高野山で刊行された仏典類をいう。
ゴースト ghost
印刷機内部の紙の走る方向に沿って平行に並ぶ絵柄が他の絵柄の濃度に影響を及ぼすことがある。大きなベタ部の近くに帯状の図柄を配したときに目立つ。原因はインキ付けローラーから図版へのインキの供給と需要のバランスが崩れることによる。
コーデックス codex
聖書・古典の写本。冊子型書籍の起源といわれ、シーザー(カエサル)が着想したとの説がある。ロウ板を皮でとじたもの、パピルスやパーチメントを二つ折りにして綴じたもの等がある。ラテン語では「書板」の意味。
コード thread
糸かがりに用いる糸。カタン糸、未晒しのもめん糸、麻、絹、ナイロン等がある。
ゴードがわ (ゴード革)
山羊革、モロッコ革のこと。
コーナーカット corner cut
伝票やカード類の直角の角を斜めに切り落とすこと。書籍のカバーでも表紙裏に折り返した直角の部分をコーナーカット(すみ切り)しているものがある。
コーネル corner
角(コーナー)のイタリア語・フランス語読み。→角革(かどかわ)
紙折りの最後の折り。16ページ折りのときは3度目の折りである。大折り(4ページ)、中折り(8ページ)と来て、紙が小さくなっていることからこう言う。
コールドグルー cold glue
加熱しないでそのまま使用できるエマルジョンタイプの接着剤。乾燥・安定に時間がかかるため、接着は理想的である。機械製本では毎時1000~3000冊程度のスピードで製本する。上製本の下固め・伝票製本等に行われる。→ホットメルト
ゴールドサイズ gold size
金付けの接着剤の一種。澱粉の薄ノリに、ゼラチンを混合した填料。→サイズ
コールドシール cold seal
接着剤を塗布した面は乾燥しているが、反応する接着剤の塗布面に接すると接着する。封筒の封緘用紙等に使われている。また両面テープのように、粘着剤をコーティングした面をシールしている紙・フィルム等を剥がすと接着するコールドシールもある。
コールドタイプ
活版は鋳造をともなうホットタイプ。これに対し写植はコールドであるという見方。
こかつじばん (古活字版)
明治以降の印刷物と区別して古活字版と呼ばれる活字本がある。天正18年(1590年)の少年遺欧使節団によってもたらされた西洋式活版印刷術によるものと、文禄2年(1593年)朝鮮から移入された活版印刷術によるもの。また慶長8年(1603年)以来江戸時代初期40年間に刊行された2種類も含む。
こきべら (扱き箆) spatula
紙を繰り出すのに使用する竹のヘラ。長さ15cm、幅35cm、厚さ6mmで刃先は剣先になっている。
こぎり (小切り)
「小裁ち」のこと。→小裁ち
こくいん (刻印) die
箔押しの金版彫刻のこと。
こくそんりつ (黒損率)
印刷において見当・色調調整・紙継ぎなどで印刷はされても製品とならないものを「黒損」という。印刷前に捨てられる損紙の率は白損率といい、黒損率と白損率を合わせて全損率とする。ヤレ発生の比率。
こぐち (小口) edge, fore edge
仕上げ断ちされた本の三方の切り口のこと。綴じ側と反対側の切り口(前小口)のみを小口という場合が多い。→本の部分名
本の小口に染料を塗ること。装飾を兼ねて小口の汚れを防ぐことを目的にする。
こぐちいんさつ (小口印刷) edge printing
小口装飾の一つ。本の小口にゴム凸版・パッド印刷などにより見出し等を印刷すること。辞書の小口面の見出しの五十音やアルファベットの印刷に用いられる。
こぐちおりびょうし (小口折り表紙)
仮製本仕様の一種。表紙をくるむ前に中身の小口のみを小断ちしておき、表紙の左右寸法を長めに小断ちしてくるむ。表紙の袖の部分を内側に折り込み、天地を最後に仕上げ断ちする。「がんだれ」とも言う。→がんだれ
こぐちぎり (小口切り) front trim
本の仕上げ断裁で行う。背を除く三方向を平断裁で切るとき、はじめに小口を切るのが正しい手順。ついで天地切りする。三方断裁機では、小口を先に断裁するタイプ、天地を先に断裁するタイプがある。
こぐちきん (小口金) gilt edge
小口に金付けすること。→金付け
本の小口を金箔で装飾したり、色染めしたりすること。「三方金」「天金」「小口金」の「金付け」や、染料による「小口色付け」「小口染め」「バラ掛け」がある。このほか小口にマーブル付けした「小口マーブル」「霜降り小口」、小口に見出しを印刷したり「爪かけ」「小口インデックス」をつくるのも小口装飾である。
こぐちノリ (小口糊) edge pasting
(1)見返しの小口に糊入れする「口糊(くちのり)」のこと。(2)無線とじ機小口糊装置はカバーフィーダーに取り付け、表紙が給紙される前に表紙小口部分に糊を引く。糊を塗布するヘッドはボールペン式のものとスプレー式のものがある。
こぐちバッケ (小口バッケ)
→バッケ
こぐちマーブル (小口マーブル) marbled edge
小口装飾の一種。本の小口にマーブル染めしたもの。→小口装飾
こぐちまいすう (小口枚数)
完成本の表紙を除いた中身の枚数。
こぐちみだし (小口見出し)
→爪かけ
こぐちもくはん (木口木版) wood engraving/white-line engraving
板目木版に対し、木口(幹を横断した版木)に図柄を彫ったもの。凹版彫刻師であったトーマス・ビューウィック(Thomas Bewick)が最初に始めた。
ござんばん (五山版)
わが国古版本の一種。鎌倉時代の末期(14世紀)から室町時代後半(16世紀)の間に、鎌倉五山(建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺)、ついで京都五山(南山寺・天竜寺・建仁寺・東福寺・万福寺)の禅僧たちの手によって刊行された書籍の総称。後に京都の相国寺が五山に加わって六山となり、また臨川寺は単独で刊行した。
製本加工中に発生する裁落、印刷の際のヤレ、一般会社・事務所・工場・学校等で使い終わったり、捨てられたさまざまの紙や印刷物が古紙である。家庭や職場から出る古新聞や本も古紙。古紙は回収業者や行政(市町村や区等)により回収され、流通経路を経て製紙メーカーに集められる。製紙メーカーは、これら古紙を溶解(印刷インキは脱黒、雑誌類のPP貼り等のフィルムや針金等の異物はスラッジとして分離除去する)してバージンパルプに混合し、新しい紙をつくる。古紙は製紙原料として再利用できるので、製本所の裁落は質の良い古紙であり、高い商品価値を持つ。
こし (腰) stiffness
紙の弾力性の強弱を示す言葉。腰が強いpliant and hard to breakとか、弱いeasy to break(またはbrittle)とかいう。
こしおび (腰帯) book-band/girdle
「帯紙(おびがみ)」のこと。
こしおり (腰折り)
別表や付図などの別丁物が、本の寸法より大きいとき、大きい分を折り込むこと。
こしおれ (腰折れ)
突きそろえなどするとき、紙質や作業の仕方によって刷り本が曲がったり、はみ出した紙の端が曲がったりすること。
ゴジック、ゴチック、ゴシック Gothic/black letter
活字書体の一つ。線の太さが一定している肉太の書体である。
こしゅうり (小修理) repairing
改装製本するまでには及ばない程度に傷んだ本の復旧処置。表紙クロスの小修理・紙葉の角のちぎれたのを補修する等の小さな修理である。
ごしょく (誤植) misprint
印刷物の文字の誤り。原稿の不完全・作業者の不注意・活字の不良・コンピューターの化け字などの原因によっておこる。
コスレ rubbing off/marking/smear
印刷面が印刷機・折り機・丁合い機・糸かがり機等の中を移動しているときに汚れおよび傷がつく現象をいう。印刷機上では、印刷インキにワックスを混合してインキが滑るようにしてコスレを防止する。製本機にかけられたときには、インキが一度、搬送系によりこすられると堆積して、すぐに激しくキズが発生する。刷り本間の移動が激しくなり物流コスレを生じる危険性がある。
大裁ちの後、更に小さく断裁すること。シール・ラベルのように1枚の紙葉に多数が面付け(多面掛け)してあるものを、1個ずつの絵柄に小断ちして分ける。クロス・ボール等は大断ちのあと一冊分に切る。「小切り」とも言う。
和本の粘葉(でっちょう)とじの一種。紙の印刷面を内側に折った折丁を重ね、その折り目の外で残りの裏面に糊付けし、2枚ずつ開いて読めるようにした製本様式。開くと胡蝶が羽根を広げた様子に似ていて、華麗な名前がついた。図の胡蝶綴じの本は、さらに糸で綴じたもの。背に綴じ糸が見える。
コツ
樫・桜などの堅い木でつくった定規で、本の丸味を出すときに用いる。形状は、厚さ25mm、幅70mm、長さ90mmの小道具。コツの大型の物は断ち割りの際に角度の調整や不揃いを直すために用いる。
コットンし (コットン紙) featherweight paper
化学木材パルプでつくった、上質で軽量、ざらつきのある高級紙。
ことびら (小とびら)
「略標題紙」のこと
コトル
ニカワを塗るのに、時間をかけ過ぎたり、風や低温などのために接着力を減ずること。
こば
紙積みを断裁した際の切り口の面。「こば」の状態で断裁刃の摩耗の具合を見る。印刷紙の紙積みを切ると、印刷絵柄の状態により「こば」に模様が浮き上がってくることがある。この模様は意図的なものではなく、印刷面のインキのついた箇所を切ったために起こる偶然の所産だが、小口インデックスは、小口を化粧断ちした際に「こば」に模様があらわれるのを意図的に活用したものである。
「こば」の語源は、材木のきりはし、こっぱの意味の「木端」と思われる。広辞苑には、こばとして「小場・小庭」「木羽・木端」「木場」等があげてある。大阪には「木端たれ表紙」という言い方がある。
こはぜ (小鉤)
帙につける骨やぞうげで作った掛け爪。「こおぜ」とも言う。
コピーコントロール copy control/down stream shut off
中とじライン・無線とじラインの丁合機において、不良本を機械を停めずにリジェクト装置より排出するコントロールシステム。どこかの台で落丁が検知されると、次の台から順次その不良丁合本が通過するときのみエアサッカーバルブを閉じることによって給紙を停止する。不良本のために余分な折丁を供給することがなくなる。不良丁合本は綴じる前に排出装置(リジェクト装置)により自動的に除去される。同じ台で数回連続して落丁が検知された場合には機械は自動的に停止しアラームランプが発生した台を知らせる。丁合機・中とじ機の始動のさいは丁合機・入紙掛け機各台から折丁は一部だけ給紙され、1冊分の丁合本がつくられリジェクト装置から排出される。正しく丁合されているか検査して本稼働に移る。生産開始時には丁合台は順を追って丁合を取りはじめ、終了時には順を追って丁合を停止する。シーケンシャル丁合という。立ち上がり時・終了時の作動の仕方により、不揃いの丁合本を手で組み直したり、丁合台にのせ直したりする手間が省かれる。コピーコントロールの装置されていない丁合機でも、キャリパー(厚み計)により落丁本は自動的に排出されるが、落丁本が厚いため「バラシ作業」がたいへんである。
こふん (胡粉) Paris white
小口染を艶消し(つやけし)に仕上げるための材料。貝殻を焼いてつくる白粉。
こま (駒) partition/feeder pocket/stack
製本所で言う「ひと駒」は、1単位・1区切りという意味。切り違え集積するときの一定方向の数冊の1ブロックが1駒である。丁合機の1台分の1ボックスは1駒。「駒断ち」は1駒ずつにまとめて断裁すること、「駒積み」は1駒ずつ積み重ねること、「駒剥がし」は仮固めのあと駒断ちのできる厚さにはがすことである。
こまかず (駒数)
本などの総冊数を、ひと駒の冊数で割った数をいう。
こまがため (駒固め)
1駒毎に紙片を入れて角板(つのいた)に積み、金輪を掛けて仮固めすることをいう。主に小口装飾するための作業工程の一種。塗布した接着剤の乾燥をまって駒剥がしをする。
こまがみばん (小間紙判)
規格外の厚紙の寸法。515mm×606mm。
こまじめ (駒締め)
糸かがり本の背均し(nipping&smashing)や平締め(plate press)を1駒ずつに区分して圧搾すること。
こまだち (駒裁ち)
一定の数(複数)を1駒と決め、仮固めした本の中身を三方仕上げ断ちすること。または仮製本や雑誌類の仕上げ断ちをいう。「駒切り」も同じ。
こまづみ (駒積み)
ひと駒ずつを積み重ねることをいう。
こまはがし (駒剥がし)
書冊を仮固めしたものを、駒裁ちのできる厚さにはがすこと。
こみだし (小見出し) subhead
まとまった著作では、章・節・項というような順序で見出しがつけられるが、そのうちで最も小さいものが小見出しである。
ゴムバンド gum band
本の丸味出しをするとき、丸味のくずれを予防するために、ゴムバンドをかけておく。
こもの (小物)
外題・貼り奥付け・ハガキ・売上伝票など、本文とは別に印刷されて、仕上げ本に貼り込んだり、投げ込んだり、あるいは本を包んだりする付属印刷物。→付き物
現在の「カレンダー」を、旧暦による生活感覚が身についた年代の人は「こよみ」と言う。カレンダーが「こよみ」と言われていた時代、暦は当然、和本でつくられていた。農業社会でもあったから農作業を中心に、旧暦(太陰暦、陰暦)が本に仕立てられたり、1枚物にまとめられた。絵暦(えごよみ)も多く出版された。現在のカレンダー製本は壁掛けや卓上が前提になっているので、昔の暦とは製本技術のつながりは皆無である。「暦書(れきしょ)」「暦本(れきほん)」という言い方もある。
ゴリ forming
上本製の表紙のくるみを行なうとき、中身の背の部分の丸味に合わせて、表紙の背の部分に半月状の熱板を当て丸味をつけること。ゴリ台にあてがって行う。
ゴリだい (ゴリ台)
コレーター collator
丁合機。折丁よりも枚葉紙のための丁合機をさす。枚葉紙用コレーターは印刷ずみの紙をそれぞれのステーション(紙置き台)に積み重ねて置き、真空吸引式のサッカー(またはゴムローラー)により1枚ずつ給紙する。チェーンコンベアに受渡し、順序正しく重ねてデリバリに積み上げる。ペラ丁合機ともいわれ、たて型(タワー型)・円盤回転型・横型等がある。巻取紙用のコレーターは「コレーターバースターcollator burster」という。印刷済みの巻取紙を各スターションにセットして丁合いの順序に集め重ねる。番号印刷・糊付け・断裁などの作業も同時に行う。フォーム印刷の仕上げで行う。
ころがし
→きんころ
コロタイプ collotype
平版印刷の一種。写真製版で行う古い方法のオフセット印刷である。→アートタイプ
大分けしたあと、さらに丁合1台ずつページ順に仕分けること。→台分け、大分け
(かみの)こわさ ((紙の)こわさ) stiffness
紙の折れ曲がりに対する抵抗度合。剛度ともいう。
コワシ
図書館製本で合冊・分冊製本を行うとき、元の製本のときの針金、かがり糸などを除き分解する作業。
こんごうはんにゃはらみっきょう (金剛般若波羅密経) the Diamond sutra of 868
現存する世界最古の刊本(868年刊)。1907年スタイン博士(Sir Aurel stein)が中央アジア探検で敦煌の石窟から発見した。大英博物館に所蔵されている。7枚の紙を継ぎ合わせた全長約486cm、天地約30cmの巻子本。
コントラスト contrast
画像の明るい部分と暗い部分の濃度の差。同一の画像でも濃度が違うと印象が変わってくる。この濃度差をコントラストといい、全体にコントラストを弱めたり(薄い濃度)、強調したい部分のコントラストを強めたり(濃度を濃く)する。差が大きいものを硬調、差が小さいものを軟調という。
こんにゃくえき (蒟蒻液)
マーブル取りするときに用いる。容器に2.16~2.34リットルの熱湯を注ぎ、これに杯(さかずき)2杯位のこんにゃく粉を少しずつ加えて攪拌する。冷やして絹ごししてこんにゃく液になる。
コンバート convert
特定のコンピューターで作動しているプログラムやデータを、他の規定のコンピューターでも作動するように変換すること。MS-DOSでフォーマットしたテキストデータを、Macintosh用のフォーマットに変換する時などに「コンバートする」といい、CD-ROMからハードディスクへ、フロッピーディスクからCD-ROMへその内容を書き写すことなども指す。
コンパイラげんご (コンパイラ言語) compiler language
日常会話にちかい表現方法のプログラムを組むためのコンピューター言語。コボル、フォートランなどがある。
コンパウンド compound
熱可塑性樹脂に各種の配合物を加え、成形加工しやすくするやめの混合液。印刷インキの印刷適性を高めるために使う樹脂や、配合物を加えた混合液。
コンビネーションおりき (コンビネーション折機) combination paper folding machine
バックル折り(平行折り)方式と、ナイフ折り(直角折り)方式を組み合わせた折り機。巻8つ折り、巻16折り、12ページ折りなどができる。
コンピューター computer
さまざまな情報(データ)を目的にかなうように整理・検索・処理を行い、利用者にとって意味のある作業をする機械装置。コンピューターが有効な働きをするためにはコンピューター機械本体(ハードウェア)とコンピューターを動かすプログラム(ソフトウェア)が密接に関係している。コンピューターは、汎用大型コンピューターからワンチップ型のコンピューターまで演算速度・記憶容量等によって用途が使い分けられている。コンピューターがその目的を果たすために、基本的機能を備えた五つの装置で構成される。
(1)入力装置=意味のあるデータを読み取る機能。(2)記憶装置=データの記録、読み出しの機能、コンピューター本体の中にある主記憶装置(内部メモリー)と、本体の外部に接続する外部記憶装置(外部メモリー)がある。(3)演算装置=記憶したデータを計算・処理・判断等の機能。(4)出力装置=処理したデータを印刷や表示をしたり、コンピューターに接続した外部記憶装置等に制御信号を出力する機能。(5)制御機能=各装置間のデータのやりとりを制御する機能。このうち、制御装置と演算装置は互いに協調して動作するコンピューターの心臓部であり、中央処理装置(CPU Central Processing Unit)とよばれている。コンピューターはあらゆる分野において利用されている。製本所は、コンピューター搭載型の製本機械を使うことでコンピューターを日常的に使いこなしていることになるし、請求書発行や生産管理等の事務処理にも「パソコン」「オフコン」として使っている。製本需要先である出版社・印刷所においてはさらに多く使われていて、編集作業と製版・印刷作業を一体化したDTP、本の形態をとらない電子出版(CD-ROM等)が実用化されている。生産機械ではとくに製版工程のコンピューター化が著しく、色分解はコンピューターを搭載したスキャナーが職人の経験と技術に置き換えられている。文選・植字等の文字組みはパソコンやワープロ、さらにOCR読み取りや音声入力まで実用化されようとしている。印刷機械においてもコンピューター化は顕著であり、自動版替え装置・水やインキの自動調整・校正と本機刷りをかぎりなく一致させるコンピューター制御等、オペレーターの勘とか熟練は必要なくなりつつある(スキルレス)。
コンピューターウィルス computer virus
コンピューターのソフトウェアやデータを次々に破壊していくよう意図的に組まれたプログラムで、接続されているコンピューター間で感染する。これに感染しているかどうかを調べるための「コンピューターワクチン」も開発が進んでいる。アプリケーションソフトをむやみにコピーして使わないのが得策とされる。
コンピューター グラフィックス computer graphics
コンピューターを使ってできた図形や画像の総称。図形の拡大や縮小、回転や変形、合成処理などができ、手作業では不可能な画像処理がコンピューターによって可能になり美術作品も多く見られるようになった。アドビ社のイラストレーターなど専用のソフトウェアが数多く販売されている。
コンベア conveyer
紙や折り丁などを、自動的に運搬する流れ装置。