書籍の中身と表紙をつなぐために表紙の内側に貼る紙。中身を保護するためと本の耐久力を保持する大切な役目を持っている。使われる見返し紙の厚さは、本文用紙より厚手で丈夫な紙を、本の仕上がりに対して縦目に用いる。表見返しと裏見返しの区別を判別できるように印をつける。絵柄が印刷してある場合は前後の貼り違いを未然に防ぐことができる。印刷のない場合でも表裏に貼る加工枚数の配分を公平にすることができる。表紙の裏に貼り合わせる方を「見返し紙」、もう一方の貼っていない紙を「見返しの遊び」という。見返し用紙は、本の大きさ・束の厚さに相応した104.7g/・以上。上質紙・特種用紙・襖紙・マーブル紙などが使用される。見返し用紙は表装材料(クロスなど)との対応を考えて決められる。
みかえしあしつぎ (見返し足継ぎ)
→足継ぎ
本の見返しをつくる作業。はり見返し、継ぎ見返し、巻き見返しの3種類がある。継ぎ見返しはあまり行われない。
みかえししらべ (見返し調べ)
ノリ入れの工程まで終了した本製本を検査する作業。製本上のミスがないかどうかについて、ノリ入れの状態、見返しと見返しの遊びとのくっつき具合、見返しの汚れなどを厳重に検査するいっぽう、表紙・はく押し・溝・ちり・ヘドバンなどにもミスがないかどうか調べるのが、この作業。製品検査として重要な工程だから手をぬくことはできない。
みかえしのあそび (見返しの遊び) fly leaf
見返しのうち表紙に貼っていない方の紙。「遊び紙」とは別。
みかえしノリ入れ (見返し糊入れ)
表紙と見返し紙とを貼りつけること。全面(ベタ)貼りと口糊入れの二つの方法がある。上製本は全自動くるみ機の中で行われ、並製本では無線とじ機に「見返し貼り装置」がビルドインされている。
みかえしばりそうち (見返し貼り装置) endpaper gluing station
無線とじラインにある見返しを自動的に貼る装置。本のノドの部分にホットメルトかコールドグルーをスプレー装置で塗布した後、2台の見返しフィーダーより前後の見返しが給紙され、プレスローラーにより両側からプレスされて見返し貼りが確実にされる。クリスクロスデリバリーの前か、ブックブロックフィーダーの後に入る。
みかえしようし (見返し用紙)
比較的強じんな、本文用紙よりやや厚手のものを用いる。
本を開いたとき右側のページから左側のページへノンブルが増えていくもの(縦の文字組み・コミック等のコマが上から下へ縦組み)は、ページを右側へみくっていく。これは右開き。逆に左にめくっていくものは、左のページから右側のページへノンブルが増えていき、文字組み(横組み)・コミック等のコマも左から右へ、左から右へと読んで行く。ページは左側にめくっていくので、左開きということになる。表紙製作の指示をするとき「右開き」「左開き」の区別を明確にしておく。→左あき
り込みのさい折り目の右に見当を合わせて貼り込むこと。左見当貼りはこの逆。→左見当貼り
みきり (見切り)
継ぎ表紙において、背クロスの平に出た部分やコーネルなどの継ぎ貼りする部分に、区切りをつける境界線。
ミシン perforation
(1)切り取りミシン、スロットミシン、スリッターミシン、ラインミシン、マイクロミシン、丸ミシン、印刷ミシン、折りミシン等がある。 参照 切り取りミシン。(2)「綴じミシン」のことも、ただミシンという。
ミシンすじぐるま (ミシン筋車)
「筋車」と同じ。→筋車
ミシンずり (ミシン刷り) perforation
ミシン入れ、刷り目打ちともいう。印刷物に印刷機で切り取り用のミシン穴をあけること。目打ち用けい線を用いて印刷と同時に行うか、別にミシン刷りだけを行う。印刷直後にルーレット(目打ち車)の間を通して行う場合もある。
ミシンとじ (ミシン綴じ) thread stitching/sewing
糸ミシン機によるミシン綴じは、幼児用絵本やノートブックなどの中ミシン綴じ・平ミシン綴じ、本製本(上製本)のミシン綴じ見返しで行われる。図書館製本で雑誌の合本を行うときに、いったん本の背を断ち落としてペラ丁合した本と同じ状態にするこれをジグザグミシンで綴じる。
メーカー (株)スガ
みずよせ (水寄せ)
経本折り(ジグザグ折り)等で丁合した折丁をよく突き揃えて、折り目(袋の部分)に水ハケでサッと水を引き落ちつかせ揃えること。
みぞ (溝) joint/hinge
板紙を芯にした表紙を開きやすくするために、平(ひら)と背の境目にある溝の部分。
みぞつけき (溝つけ機) joint pressing machine
(1)溝を入れる部分を加熱した刃形の鉄板でプレスして、表表紙・裏表紙両面に溝をつける。(手作業のときの器機)(2)全自動成形プレス機は表紙くるみ機に連結して、本を締めると同時に溝をつける。
みぞぼう (溝棒)
背と平の溝をしっかりつけるために締め板で平締めのさいにはさみこむ。
みぞきりびょうし (溝切り表紙)
表紙の背寄りの部分に溝をつけた表紙。
溝のついた本。上製本の一般的な製本様式。「突きつけ」のように厚表紙の平(ひら)と耳を密着させず、空きを作り本の開きをよくした。「みぞ切り表紙」ともいう。
みぞつけ (溝付け)
製本の際、中身をくるみ終った後で、みぞつけをする場合には、鏝(コテ・いちょうとよぶ)を前もって加熱しておき、これを背とひら(平)との接合部に当てて、背がたるまないように注意しながら、2,3回本の天地へ往復させて、みぞをつけ、これにより中身の背と表紙の背とを、この部分で密着させる。また、みぞつけには「みぞつけ機械」もある。
くるみ機によって表紙付けされた本の、溝付けと成型、および平締めを行う機械。→いちょう
(1)書籍・帳簿の中のある事項を見つけるのに便利なように設けた題目。インデックス index。(2)辞書で項目を示す部分。電話帳、カラオケインデックス等の検索用の索引と似通った見出しもある。(3)新聞・雑誌等の記事の標題 heading caption
ページ数の多い厚い本(辞書・電話帳等)は、ユーザー(読者)が探している項目を簡単に検索できるように、見出しを小口に加工して掲載するスタイルが定着している。化粧断ちした際に小口に模様が浮き出し、この模様が一種の見出しになっている。さらにその模様の近くに50音やアルファベット等の索引用の文字を印刷したり、突きノミ・爪掛けパンチ等により小口を半球に切り込むもの(「爪かけ」という)もある。小口に階段をつくったようにして見出しをずらし検索しやすくしているものもある。ルーズリーフ式にカタログ等の印刷物をとじこむ場合は見出しを間紙して入れている。雑誌の中にはジグザグ折りを工夫して山・谷の折り目をずらして階段状にし(「階段折り」「ピラミッド折り」と名付けている製本所もある)見出しを印刷した折丁をとじこんだ目先のかわった造本もある。いずれも製本加工技術をフルに活用し、本の機能性(見たい箇所をすぐに開けるようにする)を増し、付加価値を高めようとする出版・印刷企画である。
みだしきり (見出し切り)
索引、インデックスを付けるために行う小口加工で、手工的なものと、機械で行なうものがある。ペンチ抜きはパンチ式に半円形に切り、打ち抜きは半円形のタガネで抜き、突きノミは斜めにそいだように切り込んだものをいう。デュールゼーレン社の見出し抜き機は、完成本を機械にセットすれば、全自動でページを繰り必要な枚数を何通りも抜いて行く。一般には、刷本の段階で抜きを行っておき、抜きの後、折丁をつくる方法が行われている。これは完成本の化粧断ちの際にカブリを出さない対策が必要。
みだしばり (見出し貼り)
「貼り見出し」のこと。→貼り見出し
みだしひょうだい (見出し標題)
書籍の篇・章・節等の見出しをそのまま標題としたもの。
みちがわ (道皮)
折丁の折り目であるクサリとクサリを皮の平紐(フグ皮・三味線皮等。幅15cm位の平紐)で繋ぎ、その上を糸かがりする。この皮が道皮。
みつおり (三つ折り)
巻き折り。2度折って三つにする。「3度折り」とはちがう。一方を逆折りにしたものは「外三つ折り」という。
みつめとじ (三つ目綴じ)
和綴じ様式の一種。和本の綴じ目は四つ目が基本であるが、「三つ目」の場合は綴じ目を3箇所つくり、綴じ糸を真ん中のところで堅結びして綴じ糸の両端を適当な長さに残しておく。
仕上がりが小さな判の折りのこと。薬品の効能書き・各種商品取り扱い説明書(「取説 とりせつ」と略して言う)は、商品と一緒に箱(ケース)に小さく折り畳んで入れる。製本所が通常使っている16ページ折り等の折り機では困難な小判、複雑な折り加工を特徴とする。
ミニディスク mini-disk
折丁をたくわえておく装置。フェラーグ社の製品。
→プリントロール
みのがみ (美濃紙)
和紙の一種。書院紙・直紙(じきし)・みの、ともいう。美野国、武儀郡から優良のものを漉(すき)出したから名づけた。楮(こうぞ)を原料にした本物の美濃紙は、紙質は強く、虫に食われにくいのが特長である。
(1)書籍や雑誌を開いたとき、向かい合っている左右2ページを「見開き」という。(2)会計帳簿類の見開きの両ページには同一のノンブルがはいるものがある。2ページにわたって一つの書式になっているので、見開きで1ページと見る。
図版・表・写真・絵・イラスト等が1ページにおさまらないとき、向かい合った2ページに渡ってはいる。「中開き」「見通し」という言い方をすることもある。
無線とじによる本が多くなり、見開きのよい本が近年とくに求められている。このため接着剤の改良、本の背の強靱さ等が重要な研究テーマになっている。これに対し糸綴り、中とじはもともと見開きの良さが特徴であり、地図帳は見開きの良さと耐久性から糸綴りが採用された。製本所・印刷会社では独自に工夫した製本方法を、特許・実用新案・商標登録等していることもある。見開きをテーマにしたものでは、「オタバインド」「スイスブローシェア」「レイフラット」「広開本」等の無線とじ各種がある。
みほんぐみ (見本組み) dummy
組版の状態を確認するための見本としての校正刷り。見本の校正刷りで束見本を製本することもある。
みほんぼん (見本本)
注文者に、あらかじめ見本として提示する書籍。
みみ (耳) back edge/joint/hinge
上製本。中身をバッキング機の万力に挟んで締めつけ、背を両側に押し広げたとき万力の締め板からはみ出す部分がある。中心から左右の端に向かって叩くと角ばった隆起ができ「耳」という。表紙との接合を強くして本の開きもよくなる。本の形を保つうえで必要。
みみいた (耳板) backing board
手機械でバッキングを行うときに本を締めつける板。→バッキング板
みみおりそうてい (耳折り装丁) circuit edge
革表紙のチリの部分を大きくとり小口の三方を包むように作った特別の装丁本。本の小口の保護と装飾が目的。
みみだし (耳出し) backing
「バッキング」のこと。→バッキング
周囲の仕上げ断ちをしないでフチを漉きあげたままにした紙。雅味のある挨拶状・書籍などに用いる。→縁付き紙
ミラーコートし (ミラーコート紙)
塗被紙の一種。強い光沢がある紙。アート紙とほぼ同じ原紙を用いてつくるが、顔料含有量が多く印刷インキをよく吸収するものと、ラテックスなどをふくんだ吸収しないものとがある。印刷適性は比較的よく、商品名では、クロムコート・キャストコートなどとよばれる。
ミルボード mill board
木材パルプ、故紙などを原料として抄造した板紙。高級製本用の芯紙、その他、用途が広い。→板紙
みんちょうたい (明朝体)
表的な漢字活字書体。縦線が太く横線が細い。起筆部および終筆部にアクセントがある。もと中国・宋朝に起こり明朝の時代にわが国に伝来した。
みんちょうとじ (明朝綴じ)
和装本に用いるふつうのとじ方。→四つ目とじ