本の綴じ側、前小口の反対側をさす。仮製本の書籍では背は直角に仕上げるのが普通。中とじ・ノート製本は「丸山」の背である。上製本(本製本)は丸背の場合と角背の場合がある。→本の部分名
上製本の表紙の背が中身の背に接している部分で、芯ボール(板紙)がどれくらい空いているか、その間の空きぐあいを「背空き」という。中身を背貼りした背幅と溝(みぞ)の寸法を加えた寸法である。同じ束厚でも、丸背は背に丸みを出す分だけ角背より背空きが広くなる。角背は、中身の束厚に表裏の芯ボールの厚さを加えた寸法が背紙(板紙)の幅となり、さらに背ボールの厚さと溝幅の決め方は、平ボールの左右の断ち寸法と板紙の厚さによって決まる。
せあわせ (背合わせ)
平断裁で化粧断ちするときの曲がりを防ぐ方法。背の高い本は2冊重ねて断裁すれば曲がりが防げる。腹と腹(表1と表1)を合わせる「腹合わせ」に対して、背合わせは背と背を合わせて天地の化粧断ちをすること。
せいかんき (製函機) sack machine/foding gluer
折り畳み箱をつくる機械。供給されたカートンプランクをベルトまたはチェーンで送りながら折り畳み、糊付けして箱にする。カートンの形態によって数種のタイプがある。タイミングを取らずに直線的な糊付けを行うストレートグルアータイプ(サック貼り機や底貼り機)と、タイミングを取りながら部分的に糊付けを行うタイミンググルアータイプ(スタウデ貼り機やライトアングル貼り機)が主なもの。接着剤は合成樹脂系エマルジョン型のものを用いる。
せいけいプレスみぞいれき (成型プレス溝入れ機) pressing and joint forming
表紙くるみされた本は、コンベアーに運ばれ成型機の入り口にある凹形(円)の成型バーに置かれる。凸形(円)のバーによって押圧され背の形を整え、そのまま両サイドからクランプに挟みながらプレス板の間に運ばれ加圧される。同時に、プレス板の下部に付設した2枚のイチョウ(筋鏝)の刃型により加熱され、表裏の溝の部分が押圧されて溝付けになる。ロー型(row)とロータリー型(rotary)の2種がある。
せいけいみぞつけき (成型溝付機) forming & pressing machine
本製本包機で包まれた本を、背・溝ともに加圧して成型する機械である。→溝付成型機
印刷の間違った箇所に、正しく印刷し直した紙片を貼り直すこと。→貼りつぶし
せいごばり (セイゴ貼り)
和装本において、目次や内容などを印刷した標示紙を、本の上部の中央に貼ること。→外題貼り
せいごひょう (正誤表) errata leaf/corrigenda
誤りを訂正した表。巻頭か巻末に入れる。正誤表は本文と同質の用紙に、文字の大きさ・書体等も訂正箇所と同じに印刷して、読者が自分で切り取って誤りの箇所に貼れるようにつくる。正誤貼りを製本所でなく、読者にゆだねてしまう。
せいたい (製袋) bag making
封筒・紙袋および各種充填用パウチなど、袋状の包装材料を製造すること。用いられる材料は、紙・セロハン・プラスチックフィルム・複合基材のラミネート等多様である。形態により打ち抜きを伴う。糊貼り・ヒートシール・インパルスシール・高周波シール・超音波シールにより接着する。シート状の角形は背を貼った後に底を貼る。角底形・平底形等は、底貼りによる。サイドシール・二方シール・三方シール・T形シール等もある。軟包装の特異なものにスタンドパックがある。
せいたい (正体)
印刷するためのフィルム、さらに印刷機に搭載する刷版を作る作業のこと。箔押の場合は彫刻版や腐蝕版を作ること。
せいでんき (静電気) static electricity
紙は摩擦によって静電気を帯びて、紙同誌くっついて1枚ずつにはなしにくくなる。また機械が紙と接触する部分でも紙が機械にくっついてしまい、機械稼働を妨げる。静電気を帯びた紙、金属、プラスチック等に身体が触れると電気に打たれて痛い。乾燥した日の続く冬場は、製本所は静電気に苦しむ。金属と触れ合うことで静電気は発生しているようで、針金や金属リボンを紙面に接してアースをとったり、機械の紙と接触する各部に紙を貼って除電につとめている。紙より獣皮のほうが有効という説もある。静電除去装置、静電防止機が多数販売されている。また、工場全体の調湿(加湿)で静電気対策を講じる製本所もある。
せいはん (製版)
印刷するためのフィルム、さらに印刷機に搭載する刷版を作る作業のこと。箔押の場合は彫刻版や腐蝕版を作ること。
せいほん (製本) book binding
刷り本を順序に従ってまとめ、読み易いように互いに接合すること。製本はさまざまな角度から分類される。発祥地域により東洋の和漢装本と西洋の洋式装本。用途により出版物製本と事務用品製本に。生産量によって数物製本・図書館製本(諸製本)・創作製本(ルリユール)に分類する。様式によって上製本(本製本)と仮(並)製本に分類できる。さらに、洋式製本の製本様式を細かく区別するには、表紙に使われる芯(しん)材料・表装材料と仕立て方による表紙の種類を併称する必要がある。和本(和漢本)については、巻子本・亀甲とじ・経本・粘葉装(粘蝶装)・大和綴じ・四つ目とじ(唐本装)等があげられる。
製本については、だれもが一家言を持つので、広辞苑(岩波書店)と新和英中辞典(研究社)の説明を以下に示し、参考に供する。
広辞苑=原稿・画稿・印刷物・白紙等を糸・針金・接着剤等で綴じて表紙をつけ、小冊子・書籍等に形づくること。和装本(和綴じ)・洋装本(洋綴じ)に大別。
新和英中辞典
- 丈夫な製本=a durable binding
- 製本する=bind a book
- 製本がよくできている=be well bound
- 製本中である=be at the binder's/be binding
- 製本所=a bookbindery
- 製本屋=a bookbinder
せいほんぎょう (製本業)
「日本標準産業分類」(編集 総務庁)による「製本業」の規定は「主として製本を行う事業所をいう。ただし、印刷と同時に製本を行う事業所は小分類193(1931)に分類される。」小分類193(1931)は「印刷業」であり、印刷業の中に印刷製本業は含まれる。製本業は、小分類195「製本業、印刷加工業」の「1951 製本業」となる。ちなみに「1952」は「印刷物加工業」であり、「主として光沢加工、裁断、箔押しなどの加工を行う事業所をいう」と説明されている。「印刷物裁断業」「印刷物折り加工業」「印刷物箔押し業」は1952 印刷物加工業に含まれる。なお、中分類19は「出版・印刷・同関連産業」である。
無線綴じの製本強度は、プルテスター(ページ引っ張り試験)及びフレックステスター(加重をかけながらページを左右に振る試験)で、どこまで耐えられるかという接着強度と紙葉の強さのかねあいについて測定される。とくに無線綴じ製本は線の接着であり、斜め方向による引っ張りには弱い(点の接着)。無線綴じは接着だけによって綴じられているため、接着剤の経時変化をはじめ温度・湿度耐光性・印刷インキの残存溶剤の影響等、さまざまの角度から強度が試験される。→強度
せいほんしようしょ (製本仕様書)
製本仕様書(製本指定書)は、出版社で企画して作られた台割り(編集台割り表)と印刷仕様書に基づいて作られる。製本指定書には、上製本用・仮(並)製本用・図書館製本用・伝票製本用等、業種ごとの工程が忠実に項目書きされていることが必要。指定書(仕様書)にもとづいて、材料の手当て・下請け外注の手配・運送・作業進行表・人員配置・請求書発行等が行われる。製本生産管理のための基礎的なデータが製本仕様書(指定書)にすべて表示される。
せいほんてきせい (製本適性) fitness for books
優れた製本が可能となるような諸要素。材料、設備、作業面等のあらゆる要素について製本適性が検討されて優れた製本が実現される。造本上の仕様・数量・納期等の基本的な条件とともに、紙質、印刷、接着剤等の製本資材、表紙材、製本機械の状態、作業者の習熟度等、さまざまの要素が干渉しあい影響しあって、目標としている製本が実現される。
ナンバーリング(番号印刷)した記号。
せいれつき (整列機)
完成本をきちんと整列して包装機械が包装しやすいように本を積んだ形を整える機械。 メーカー コルパ(株)・(株)タックス
せかこうステーション (背加工ステーション)
無線とじ機において、本の背のカット(ミリング)の後に、糊の浸透を良くするために毛羽立たせたり(ラフニング)、溝をつけたり(ガリ入れ)する装置。
糸かがり、無線とじにおいて、綴じた本の背の側が小口側より厚くなっている状態。綴じたあとのプレスが不十分等の理由による。
伝票類を背固め断裁して、背になる部分に接着剤を塗布して背を固める作業である。単式伝票や複写伝票などは、バラもの以外すべてこの作業が必要。背固めの側により「天のり」「横のり」「下のり」などと呼んでおり、着色された接着剤で背固めをしたり、染料で着色して仕上げるときは「色天」「青天」「青のり」などと言っている。<背固め断裁>背固めする面は、断裁機の内側に残る面とするようつとめる。これを突きそろえないで積み上げて背固めをする。断裁された駒は、1駒ずつ締め板の上に背固めする面をそろえ、左右は少しずらして垂直に積み上げる。このとき駒のつなぎ目が前後しないようきれいに積み上げるのはもちろん、駒の上部が「オチョコ」になりやすいので板を当ててこれを防ぐ。積み上げる方法は「寄せ掛け」と「紐とり」がある。<接着剤の塗布>製本の仕方にあった接着剤を使用する。最近はほとんど合成接着剤を使用するようになったが、薄葉紙や更紙のときは澱粉糊のほうが良い。断ち切りベタカーボン紙やベタ印刷のときは紙質に大きく影響されるから実際にテストして適当なのもを用いる。接着剤は中央部より端の方へ向かってむらなく塗布する。背中に沢山細かい傷を付けると、それだけ強く接着できる。セパレートワックスを塗布したときの接着剤は、皮膜が弱く浸透性の強いものがよい。<背固めはがし>1冊ごとあるいは1組ごと剥がすときには、普通にはペーパーナイフを用いるが、指先で裏返してめくるようにして分けることもある。背固め剥がしは1駒のなかの順序や、駒相互の順序を乱さないよう、特に番号入りの場合は注意を要する。これは作業中に異常が発見されたとき容易に相関連する箇所を探すことができるからである。
せがみ (背紙) back lining
(1)本の表紙の背の中央部分に貼り付ける地券紙・クラフト紙・板紙。(2)背の本固め時に用いるクラフトしわ紙・地券紙なども背紙。機械製本では巻き取り紙をセットする。
せがわ (背革) back leather
本の背の部分に使用する革。継ぎ表紙の中央部分に貼る革のこと。背部から平の箇所に掛ける。羊革、子牛革がよいとされる。
せきがいせんかんそうき (赤外線乾燥機) infrared drier
外線を照射すると自己発熱現象をおこす。これにより接着剤を強制乾燥させる装置。無線とじ機においてコールドグルーにより表紙をくるんだ場合に、糊の乾燥を早めるため赤外線を本の部分に照射する。
せきそういたがみ (積層板紙)
せきばんいんさつ (石版印刷) lithography
石版石を版材とする平版印刷の一種。1798年、セネフェルダー(ドイツ人)が完成した。現在でも創作版画(リトグラフ)の技法の一つとして利用されている。
せきりょう (責了)
責任校了の略。
せくるみ (背くるみ)
→帳簿製本
せクロス (背クロス) back cloth
(1)背継ぎ表紙に使われる背クロス。(2)針金平綴じの切り付け表紙に使われる背巻きクロス。(3)伝票・帳票等の背巻きに使われるマーブル模様を印刷したテープ状の紙クロス。粘着剤をつけたタック状のテープや平判ののもがある。
せじるし (背印) back mark
→背丁
「背丁」は、刷り本の区分を表示するために書名・巻数・折り名などを背の上部に印刷したもの。「背標」も含めて「背丁」ということもある。折り印、捨て文字等の言い方もある。
せつぎびょうし (背継ぎ表紙)
装丁上の好みや表紙の補強のため、革や布クロス等を背と平の一部にかかるように継ぎ合わせて仕立てた表紙。背皮表紙、背クロス表紙がある。
固体の貼り合わせに用いられる物質。流動性があって固体表面をよく濡らし、固化することによって接着する。分子間の接着力(投錨効果)が本質とされている。製本加工に使われる接着剤には、植物系の澱粉糊・動物の皮や骨から精製した膠(にかわ)・合成樹脂型接着剤などがある。接着効果を得るためには適当な銘柄・品質を選ぶ必要がある。
(1)<何と何を接着させるか>本を構成する紙質の種別。(2)<部分接着か広い範囲の接着か>部分接着とは、別丁の貼り込み・仮(並)製本の表紙のくるみ・背固め等。広い範囲の接着とは、表紙貼り加工・見返しの糊入れ・絵本の合紙・函の貼り紙等。(3)<接着後の条件>本文の接着部分の引っ張り強度・表紙の剥離度・引き裂き強さ・紙むけ・表紙の反り(オーピング)・表紙の表面に発生する「かび」の予測・見返し糊入れ後のノド際寒冷紗部分のブロッキング現象・溶剤によるシミの発生等々。ホットメルト型接着剤は引っ張りや剪断には強いが、剥離や引き裂きには弱い傾向にある。水溶性接着剤は、自然環境に敏感に反応するので、梅雨時の湿度の高い季節には、用紙の種類によっては本がウェーブ状(波形)に変形することがある。アート系の本文用紙の見返しに糊入れする場合は広い面積に塗布するため水分がその部分に長く滞留して、ウェーブ状のしわが出ることがある。合成系接着剤は、天然系と比較すると品質の安定背、作業性、接着強度が非常に優れているので工業用途に広く用いられている。天然系接着剤は、原料から来る不安要因、耐水・耐湿性が低く腐敗しやすい欠点があるが、木・紙に対して優れた接着性を示すので紙加工、木材加工、包装等では膠・澱粉・デキストリン等が多く使用されている。製本用として、合成樹脂ではホットメルト接着剤・酢ビエマルジョン、天然系では膠・澱粉糊が使われる。→接着材料
デンプン糊やニカワ、合成樹脂接着剤などは製本加工上欠くことのできない材料で、この良否は本の品質・耐久性に影響するのはもちろん、悪い材料を用いると製本作業も非常にやりにくくなる。良い材料を使用することが大切である。
ゼットおり (Z折り) Z folding
通称12ページ折りと呼ばれている折り方。A判全紙1枚に6面付け12ページの版面で印刷され、規格判以外の大型の製本に適用される。Z折りの折り方は、天地の袋になる部分をバックル折りで2回折り、3回折り目の中央をナイフ折りする。
セットのり (セット糊)
セットものの複写伝票の用紙メーカーが開発した、第一葉目の紙に反応しない無線のり。
2枚以上で1組となっている複写伝票。ノリ付けものと、バラのものとがある。
せとじ (背綴じ) back stiching
「中とじ」のこと。→中綴じ
せなか (背中)
半製品、完成品に限らず、本の背にあたる部分をいう。→背
せならし (背均し) nipping and smashing
糸かがりの済んだ中身の背は、糸の太さと針穴の影響を受けて他の部分より厚くなっている。均し機を使って本の背の部分を圧搾して均し、ほかの部分の高さ(厚さ)と平行になるようにする。紙折りした地袋と反対側(天の部分)と背均しをした高さが等しくなる迄締める。本の背の部分に締まりがなく、背割れなどが発生する原因には背均しが弱いことも考えられる。
せのりそうち (背糊装置) glueing station
無線とじ機械。背をカット(ミリング)され背加工された丁合本が、クランプにはさまれて移動していく間に背に回転ローラー(糊ローラー)でホットメルトあるいはコールドグルーを塗布する装置。ローラーの高さを調整して糊の塗布量を加減する。背に糊をつけ始めるポイントとつけ終わるポイントはカムによってコントロールされたドクターブレードがローラーに接触したり離れたりすることにより制御される。
書籍の背を強くするため、紙や寒冷紗などを背に張りつけること。
背固めしたワンセット伝票をセットごとに分離し易くするために、セパレートワックスが使われている。予め印刷の段階でワンセット伝票の上葉紙の表面または下葉紙の裏面にこのセパレートワックスを印刷しておき、製本作業のとき水性エマルジョン系の合成接着剤で糊付けすると、上葉紙表面または下葉紙表面は糊をはじくため接着されず、簡単に分離することができる。従来は多部数を背固めしてからナイフでセットごとに切り離していたが、この手間が省ける。フォーム印刷機のようにカーボン印刷と表刷りの装置が付いている機械ではごく簡単に印刷できる。ワックスの溶解温度は高い目にし、ワックスカーボンの盛りよりやや少なめにして印刷する。ゴム凸版はカーボン印刷用のものでよく、このときの溶解温度は105~110℃に調節し、糊付け部よりややはみ出すよう大きめに、約5mm幅に印刷する。製本でセパレートワックスを塗布する場合には、酢酸ビニールエマルジョン系または酢酸ビニールアクリル共重合エマルジョン系のものを2~5倍くらいに薄めて使用するとよい。この水性糊が完全に乾燥したならば、作業台に叩きつける程度で離れる。このとき糊が濃すぎると離れにくい。製本用合成接着剤は各社まちまちであるから、まず少しテストをするとよい。
せばりき (背貼機) back lining & head banding machine
丸みだしバッキングした本(角背の本も)の背に膠を塗布し、寒冷紗・クラフトしわ紙・地券紙などを貼って中身を本固めする機械。ライン化された全自動背固め機は、大量の膠を連続して供給するので、膠付けローラーボックスにプリメルターを設備して60℃の温度を保持しながら自動供給する。使用する膠の濃度は、本文の紙質と貼り材料によって粘度調整を行う。第1塗布ローラーボックスの膠は、接着しにくい寒冷紗を瞬時に接着させるため、少し濃い目にセットし、第2・第3の塗布ローラーボックスの背紙貼り用の膠はやや薄めにセットする。膠濃度を一定に保つには、濃度計で基準値を決めて時々チェックする。
折丁の順序を見分けやすくするために、折丁の背の部分に刷り込んだ記号。黒ベタに印刷されていて、一冊分の折丁を揃えて見ると背の部分に台をおって階段状に黒のマーキングがV字型に整然と並ぶ。乱丁・落丁を検知するために背標が印刷される。背印、折り標、段印、折り印等の言い方もする。→背標検知装置、乱丁防止装置
折丁の背にベタ刷りした「背標」を電気的にチェックする機械。丁合い機のフィーダーボックスの背標に当たる部分に反射式の光電管を取り付けて、背標の有る・無しをチェックする。決められた位置に背標が無ければ異常を検知して、乱丁やグルなど丁合いボックスへの載せ違いを警告する。アジロ折りの折丁は、背標がスリットの歯形で傷がついているので乱丁・落丁を検知する事は難しい。丁合い機のフィーダーボックス底盤部に光電管絵柄検知装置を設置して、載せられた折丁の一番下のページの絵柄を光学的に読み取りメモリーし、比較することによって乱落丁を防ぐことができる。
丁合や折丁の背になる箇所をテープや布、和紙等で巻くようにくるむ。伝票製本のマーブル巻き等は背巻き機(マーブル巻き機、クロス巻き機)で行う。上製本の巻き見返しでも行われる。「クロス巻き」と同じ。手作業による背巻きは、糊付け・貼り付け・巻き(返し)・こすりの順序で行う。(1)必要枚数を所要の長さ・幅(クロス 束の寸法+約25mm、マーブル 束の寸法+約25mm)にあらかじめ準備する。(2)板つけか棒付けでクロスやマーブルに糊をつける。(3)表向きになっている伝票の背を手前にして5冊を順に15~20mmくりだし、糊付けしたクロスの両端をもって5冊目の伝票の背に平行して背の平に貼る。平にかけるクロスの幅は、くろすは表裏等分。マーブル紙は表が約5mm、裏はそれより少し広い。(4)返し紙をおいて、伝票を裏向けに取り出し、クロスの貼り残した部分をその紙ともに巻く。(5)こすって、背から裏表紙の方へ貼り付ける。背をこするときは、適当な冊数をきちんと揃えて背の部分を中央部から外側にむかってタワシでこする。はみ出した糊でお互いにくっつかないようにバラしておく。
せまきき (背巻き機)
マーブル巻き機のこと。<機械の作動>丁合を一冊分、送り込み台にのせればテープの先端・後端を調節して、テープが必要長さ送りだされてカッターにより切られる。順次、伝票の下・背・上を貼り、背をおさえてデリバリーされる。帳票の厚み、テープの長さはセンサーにより自動的に調整される。マーブルテープには、あらかじめ接着剤が塗布されていて水分が与えられると接着するものと、機械内の糊供給装置による接着剤の塗布されていないものの、2種類がある。 メーカー (株)内田洋行、(株)此花、(株)ホリゾン
せまる (背丸)
→丸背
せみだし (背見出し)
ノートの背の上部に貼る見出し紙。
せもじ (背文字) back letter
本の背(背表紙)に、書名・著者名・巻数・出版社名などを印刷・箔押し・空押しした文字。
ゼラチン gelatine
動物の骨・皮などに含まれている硬蛋白質のコラーゲンを熱湯で処理して得られる。精製したものは無色透明となり、薬品のカプセル・食品・培養基・写真乳剤などに利用され、多少不純物の混じったものは接着剤「膠 にかわ」となる。不純物が混じることによって接着力は強くなる。
セルリングとじ (セルリング綴じ) mechanical bind
合成樹脂の板を櫛のように抜き、加熱して丸めてリングにする。あらかじめ本のノドの部分に多数の綴じ穴(角穴3mm×8mm、ピッチ12.7mmと14.7mmが主流)を開け、その穴に専用の道具か機械でリングを通す。他のリング製本にないメリットとしては背に印刷できることである。
セレクティブバインディング selective binding/demographic feeding
読者一人ずつの特性に応じ、個別に異なる折丁を選択して丁合し綴じる方法。顧客管理のデータベースをメインコントローラーに入力しておき、個々に異なる製本仕様にもとずき、必要な折丁を給紙する丁合台(カバーフィーダーも含まれる)のみサッカーを作動させる。必要な折丁が丁合され、さらに綴じる前か後にハガキ・本文・表紙等の必要な箇所に住所・宛て名等の文字・番号・バーコード等をインクジェットで印字する。化粧断ち後、必要な投げ入れ材料(見本、カード、パンフレット等)をインサートして包装し出荷する。性別、年齢、職業、家族構成、趣味嗜好、居住地域等により異なる顧客特性と読者のニーズに最適の本の内容、あるいはスポンサーの要望に合った広告の内容を選ぶことができる。→宛て名印刷システム(宛て名印字装置)
セロハン cellophane
人絹ぱるぷから造った薄い透明フィルム。
ルーズリーフ・カード・パンフレットなどの綴じ込み用の穴を開ける機械。針金の太さは3mm~5mm。→穴あけ機、穴あけ
センサー sensor
温度・圧力・流量・光・磁気等の物理量やそれらの変化量を検出する素子、または装置。さらに検出量を適切な信号に変換して計測系に入力する装置を指す場合もある。検知器、トランスデューサーとも言う。製本機械では、乱丁防止装置、増落丁検知装置、ズレ・タレ検知装置、キャリパー、感度装置等々、不良品に結びつきやすいさまざまの箇所にセンサーを組み込んでいる。昭和50年頃の縦型丁合機にセンサーを使った2枚差し防止装置が搭載されたのが、製本機械にセンサー導入された最初と思われる。その後、ライン化による工程間の連結が進むとともに、取り増し・取り落ちの検知、位置決めの正確さ判定等を人にかわってセンサーが行う箇所が増えてきた。
印刷用紙の寸法が正寸の大きさ(A全判・B全判)のまま版を組付けて印刷する方法。基準は、A全用紙はA5判の版が表面16ページ・裏面16ページ・計32ページの印刷。B全用紙の場合、B5判の版が表面16ページ・裏面16ページ・計32ページの印刷となる。「本掛け」ともいう。
せんじぼ (千字簿)
伝票類のナンバー打ち方の一種。→整理番号
せんすう (線数)
印刷製版のさい、ネガまたはポジフィルムにスクリーンをかけて網点を作る。このスクリーンの1インチ当たりの線の数をいう。線数が多いほど網点は細かく精密な印刷が得られる。通常新聞の写真は80線位、週刊誌のグラビアは133線位。最近の雑誌などは175線が多い。
センターカット center cut/4th and 5th cut
中とじ機のトリマーにセンターカット装置を付けて、2丁製本・3丁製本の断ち割りを行う。本の天地を断裁する際、同時に本を2丁・3丁に分ける。刃物は1枚刃またはドブ断ち刃を使用する。
せんのり (線糊) solid line glue
(1)連続伝票の1枚ずつの間に糊をつけながら貼り合わせる方法。連続伝票のマージナルパンチ穴の内側または外側に糊車で1mm幅の速乾性の糊をつける方法。セット伝票にはこの形式が多い。(2)セットノズル方式もある。(3)貼り込みの際に行われる糊入れも数ミリの幅の線糊である。
ぜんばん (全判)
枚葉紙で、規格全紙の大きさ。A全判、B全判、四六全判等がある。
せんそうぼん (線装本)
和漢装本の四つ目とじ・高貴とじ・亀甲とじ・麻の葉とじ・唐本仕立などの総称。
せんぷうよう (旋風葉)
和漢装丁の一様式。折り本の背の部分を糊づけしたもので、本文がばらばらにならないように一枚の表紙で前後に糊付けして背を包んだ。背に糊が付いていないので、風が吹くと本文が背から離れてひらひらと吹き上げられるようで、この名が付いた。
せんぽうし (先方紙)
印刷所が印刷受注するとき、出版社等の発注者が印刷用紙を手当てして印刷所に紙給することを「先方紙」という。印刷所が購入して準備する用紙は、当方紙とよんでいる。
せんまいどうし (千枚通し)
事務用の握り柄の付いたキリ(錐)。
せんりょう (染料) dyestuff
天然の色素、または石油系・コールタール系の芳香炭化水素を主原料にして作られる合成染料。繊維などを染め付ける。顔料が水に不溶性であるのに対して、染料は一般に水溶性である。色素としては特に色の彩度に優れている。手帳製本は、小口の艶出し(磨き)に染料を使う。着色箔(染料で着色した)で表紙を装飾したり、染料で小口色付けする製本は多く行われている。