いき (生き)
(1)印刷校正記号の一つ。誤って訂正した場合、元のままでよいことを示す。(2)誤刷りなどを復活させることや、断裁面をそのまま化粧ちするときなどに使う用語。
「変形判」のこと。A列、B列本判以外の規格外の判形。菊判、四六判、半紙版などをいう。
(1)塗膜に含まれる顔料が表面に移り出てくる現象。表面を布などでこすると、顔料が布に付着するのでわかる。(2)可塑化プラスチックと接触する他の物質に可塑剤が拡散・浸透するので分かる。(3)箔押し、とくに顔料箔は耐性の強い箔を選ぶこと。
(1)表紙用の皮を本染めした後、石で表面を処理してつや出しを行うこと。主として羊皮の吟皮のときに行う。(2)石碑の文字などを油ずみで紙に摺りとったもの。地は黒く文字が白い。→拓本
いしょうひょうしょう (意匠標章) device
いろいろな意匠を施した商家や職人の商標や家紋。ヨーロッパ、中近東、中国、日本などの中世には行われていた。15~16世紀ごろの印刷業と出版業は未分化であったが、時代の進展につれて印刷と出版とが分業となり、意匠標章も印刷者用と出版者用とにわかれた。家紋は製本した蔵書の表紙の型押しに、あるいは蔵書票として印刷した。
いしょうほう (意匠法)
デザインのこと。「物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美観を起こさせるものである」と意匠法に規定されている。特許庁に出願して意匠権の登録を行うことができる。存続期間は登録日から起算して15年と定められている。実用新案、特許権、著作権などとともに知的所有権として確立されている。
イスラムそうてい (イスラム装丁)
インドやペルシア・トルコ等のイスラム諸国で16世紀ごろから行われた装丁様式。表紙材料に皮革を用いてくるみ、その上に漆や金箔などで装丁した。
本の表紙の芯にする紙、あるいは背紙、中身の背貼り紙、本のケース(箔)、包装用の大箔などに用いられる材料紙のの総称。薄表紙には板紙として地券紙が使われ、厚表紙には黄板紙(チップ、特ボール)が主として用いられている。箔には白板紙が多い。
イタリック
欧文印刷文字の右に傾いた(inclined forward)書体。
いちおり(おおおり) (一折り(大折り))
最初の一折りのこと。一折りすれば4ページになる。
製本を始める前に、表紙・扉・口絵・本文・見返し・カバー・売上カード・広告等、一冊を構成する刷り物から搬入された時点で1枚づつ抜き取ること。手順・目的はつぎのとおり。(1)入荷時の伝票と製本指定書の内容とを照合して記録として残す。(2)刷り本を断ち割りする前に1枚づつ抜き取って小断ちし、版面の寸法・断裁位置などに加え、小断ちし刷り物を各台毎に2枚づつ試し折りした物を一部抜き刷り本として保存する。(3)特殊な付き物(別丁)等は折り順序を確認しておく。(4)一部抜き折りしたものと、製本指定書の内容とを照合して、一部は別丁の折り見本に、残りの位置を束見本として製本する。(5)束見本は製函(箱)見本に流用する。
いちまいおり (1枚折り)
印刷紙を一枚づつ取り出して折る。「試し折り」「一部抜き折り」である。→抜き折り
いちまいだち (1枚だち)
印刷の見当不良や面付け不良の場合に行う作業。
いちまいばり (1枚貼り)
貼り込み機械で貼ることが困難な薄紙等を、ノド際背から2.5mm逃がして手で貼ること。扉・口絵・図版等の体裁を整えるために、その上に被紙(覆い紙)として薄葉紙・和紙グラシン紙等を貼る。→貼り込み、ライス貼り
いちまつがけ (市松掛け)
製本加工に使われる道具の一種で銀杏の葉形に似た鉄製のコテ(鏝)。手作業で上製本の表紙をくるむ際に使われる。中身をくるんだ表紙の表に加熱した銀杏を用いて溝入れし表紙と本文中身を圧着させる。
いちょうきかい (銀杏機械) jointo pressing machine / forming machine / building-in machine
手作業で表紙をくるんだ本のノドぎわ溝の部分に、加熱された上下の堅刃によって加圧して表紙と中身を密着させる。溝つけと接着を目的に行う。
いっさつかためき (一冊固め機) book block gluing machine
背の均しと平締めの済んだ本の中身を、1冊づつ手差しあるいは自動送本コンベアーによって固め機内に送り込み、機械に付設してあるプレートコンベアーによって運びながら接着剤(コールドグルー)を塗布し、ガスヒーターによって乾燥させる自動固め機。
いってこい (行ってこい)
ワンクランプバインダーのこと。見本製本、少部数の無線とじに手差しで使われる。
丁合をとるとき一度にとり得る限度の折り丁の数量。(丁合い台にならべ得る折り丁の台数)その取り回数に従って、二はい、三ばい、・・・・・・という。
いっぱいちょうあい (一杯丁合い)
手丁合をとるとき一度に取れる限度の折丁の数量。作業台に並べ得る数でもある。機械丁合いの場合は、機械に付設してある乗せ台の駒数による。→一杯
いっぽんおし (一本押し)
筋付けすること。→筋付け
いっぽうづみ (一方積み)
「枠積み」ともいう。刷本や折丁、本などを同一方向に積み上げること。
いっぽんだち (一本断ち)
断ち切りのこと。
丁合いされた巻頭の折丁から最終折丁までを綴じ合わせることをいう。「手綴じ」と「糸かがり機」による機械とじの2種類がある。→いととじ
機械による糸かがり。巻頭の折丁から順に機械的にとじられる。とじ糸の本数は本の大きさによって増減する。とじ糸の種類には、木綿糸・ナイロン糸・合繊糸などがある。糸の太さ(番手)加減は、本文の紙質坪量(kg)、本文のページ数によって決める。糸番手は40番手、60番手、70番手、80番手の4種類の中から選択する。とじ糸はとじ穴2カ所で1本として数える。
<糸かがり機の構造> (1)糸巻きホルダー=円錐状に巻いた糸を乗せる台。(2)自動給紙装置=丁合いされた折丁をボックスの中に積み、ゴムの吸盤を使って1枚づつ引き出す装置。(3)給紙ホッパー=給紙装置から送られた折丁を、折りの中央から広げて鞍掛けコンベアーに落とす装置。(4)鞍掛けチェーンコンベアー=山形に作られた鞍掛けの中央に、チェーンコンベアーを通してホッパーから落とされた折丁を、往復鞍掛け装置まで送る装置。とじ機械の入口には折りの背を安定させるため、押さえローラーと送りローラーが装着されている。(5)針胴=糸針と掛け針を2本一組として固定し、掛け針を半回転させるためのギヤーが取り付けられている。(6)往復鞍掛け部=山形に作られた金属板で、針を通す穴が2カ所一組・8カ所に開けられている。内部には折丁の背にさ窄孔する突き針が2本一組で装着され縫い糸を掛け針に絡ませる鍵が、左右に往復運動するように装着されいる。(7)ストッパー=往復鞍掛け板が取り付けられ、本の大小によってとじ糸の本数を増減するための位置を決める装置。⑧排出部=糸とじされた本をコンベヤーシステム・パレタイザー等を採用し、糸かがり工程をライン化した生産システムもある。
メーカー・商社 (株)石田製作所、エスケイセールス(株)、兼松産業機械(株)、西華産業(株)、(株)南機械製作所、ミューラーマルティニジャパン(株)
本はその中身が散逸しないように、折り丁を互いに連合させねばならない。その結合作業を「とじ」といい、糸とじもその一種である。本製本・仮製本のとじに用いられ、手とじと機械とじがあるが、現在機械とじがほとんどである。帳簿製本やもろ(諸)製本には糸と針と簡単な道具だけでとじる手とじを行うが、本製本・仮製本ともに、現在は機械とじによっている。機械とじのうち、並とじは現在一般的に行われている方法で、とじ糸(かがり糸)だけで折り丁の背を結合するやり方である。丁合をすませた折り丁を一折りずつ機械のサドルにあてがってやると、自動的に突き針、とじ針、爪などが作動してとじられていく。しかし、機械による数とじは、一本の糸が連続して最初の折り丁から最後の折り丁まで各折り丁をつないでいるにすぎないから、耐久性に劣る。また製本行程中、一か所の糸がほつれたのを引っぱったりすると、最後までほつれてしまう。これを防ぐには、とじ終りの糸を結んでおくか、ノリづけするかの必要がある。束の厚い本や辞書、大型の書籍は、糸とじの強度を増し、中身と表紙の結合を強め、さらには表紙のみぞをしっかりさせるため背にテープをあてて補強している。これがテープとじである。テープは幅1cmほどのひら織り木綿または麻布でできており、これを折り丁の背に直角にあて、このテープをまたいで糸でとじるのである。
いとみしんとじ (糸ミシン綴じ) saddle sewing
預金通帳やノートのとじ方。1冊の見開き中央をミシン掛けして綴じる。通帳はこれに表紙を貼って仕上げ、ノートは背クロスを巻いて仕上げる。ミシン目は通帳の4mmくらいからノートの25mmぐらいまでの間隔で調節でき、糸は一区切りごとに自動的に切れるようになっている。通帳など正確に仕上げる必要のあるよきは、あらかじめ仮固めをしておいてミシンを掛ける。
メーカー・商社 (株)スガ
いぼたろう
小口装飾のつや出しに用いる和ろう。いぼた虫のふんと和ろうとを混ぜて作る。
イメージセッター imagesetter
コンピューターで印刷用に処理した文字やイラスト、写真など画像データを一時に印画紙やフィルムなどに出力するための装置。文字を主体とした出力機はタイプセッターと呼ぶ。
いりぬか (炊糠)
ドイツマーブルの模様つけに用いる。米ぬかを焼いたもの。
いろ (色) color
光の刺激によって目の網膜に生じる感覚のうち、形・位置以外の主として波長の違いやその強弱によって起こる感覚。物体からの反射、または物体を浸透する波長の構成またはその強さは、それぞれの物体によって異なり色の区別を生ずる。
各種の色のついた紙で、抄造時に着色したもの、または印刷や吹きつけ、手工などで着色したものがある。彩色紙、染め紙
いろうこうせい (色校正)
「カラー印刷の場合、最終の印刷作業をする前に、指定したとおりの色に印刷されているがどうかをチェックすること。略して「色校」。
いろぞめ (色染め)
「小口装飾」のこと。→こぐち色付け
いろつけ (色付け)
いろつけこぐち (色付け小口) colored dege
本の三方小口に色付けしたもので、小口装飾と汚損防止のために行う。伝票・帳票の場合は「青天」「色糊」が同様の目的で行われる。
青糊も同じ。伝票製本の「背固め」に着色された接着剤を使ったり、染料で着色して仕上げると「色天」「青天」「青糊」になる。→青ノリ
いろぬり (色塗り)
いろのさんげんしょく (色の3原色))
さまざまな色のもとになる3色。黄=イエロー(Y)、赤=マゼンタ(M)、青=シアン(C)。3色あわせると黒になる。
→青ノリ
いろはく (色箔) colored foil
各色の顔料を接着剤で固めロール箔に作ったもの。枚葉のものは生産されなくなった。→顔料箔(ピグメント)、着色箔
いろぶんかい (色分解) color separation
カラー印刷するために、原稿をイエロー(黄=Yと略号)、マゼンタ(紅=M)、シアン(藍=C)、およびグレーバランスを整えるためのブラック(黒=K)の各成分に分けること。レンズまたは光源にフィルターをかけ、パンクロフィルムに撮影する。イエロー版を作るには青紫フィルターを使用せずに撮影するか、黄フィルターまたは赤・緑・青紫の各フィルターを用いて分割露光を行う。色分解には、製版用カメラまたはスキャナーを用い、最近はダイレクトスキャナーにより色分解と同時に網かけを行うことが多い。
いろみがき (色磨き)
色染めした切り口を、十分に乾かして、牙またはメノウ石などで磨いて光沢を出す。白磁の茶碗の側面を使って磨くこともできる。
いろもの(色物)
印刷物で、カラーや多色刷りを指していう。またページ物や端物に対して、ポスターやカタログなどの商業印刷物を指していう。
いろよし (色吉)
本金箔の一種。金箔上澄合金歩合表中の三歩色のものをいう。(金75.454%、銅24.545%)
インキおし (インキ押し) ink stamping
各種の箔押しのかわりに、色インキを用いる方法。箔押しの場合と同じく金版をチェースに組み付け、仮押ししてムラとり、金版にインキローラーで着肉して見当あわせをしたあと、熱を加えないで押し圧する。
いんこうめい (印行名)
印刷物を製作した会社の名前。書物なら奥付、ポスターだと下辺の隅、カタログは欄外に小さく入れる。同時に様式番号、大きさ、製作年月日、製作数量等の印刷データも記載されることもある。バーコードが普及して印行名等の印刷データがバーコード表示される印刷物が多くなっている。ISBNの中には製品コードが含まれる。
いんさつけんとう(印刷見当)いんさつけんとうあわせ(印刷見当合わせ) register
刷り本を正確に折るために、印刷面(版ヅラ)を見当の基準にして折ること。実際に折ってトンボとトンボが一致することを確かめる。
いんさつせいほんいっかんらいん (印刷製本一貫ライン) in-line book system
印刷機械と製本機械を直結して、印刷終了後の刷紙が折丁になり、そのまま製本工程にはいる。白紙が一貫ラインの中を抜けてくると、本としてできあがっている。世界で最初にこの形態をとったのは、キャメロンシステム。印刷はフレキソ印刷方式(ゴム版の活版印刷方式)だった。その後、ブック・オ・マチイク(BOM)がわが国でも欧米とほぼ同時期に実用化された。これはオフ輪(ミラー社)と無線とじライン(コルブス社)を直結したもので、並製本・アジロ上製本の本がつくられた。さらにウノマチックと無線とじライン、三菱重工業のオフ輪と無線とじラインという組み合わせで、印刷製本一貫ラインは徐々に増えてきている。現在、わが国では7ラインが稼働している。グラビア印刷と製本工程を一貫化したラインによる本も制作されようとしている。
伝票製本では、ビジネスフォーム印刷機がバースターコレーター等をインライン化している。これも印刷に始まり、製本した帳票になってデリバリーされてくるので印刷製本一貫ラインと言える。「オンデマンド印刷機」と呼ばれる製版工程をインライン化した一連のシステム(コンピューター・トゥ・プレス)はライン末尾に中とじ、または無線とじによる製本機構を組み込んでいる。
いんさつてきせい (印刷適性) printability
目的にかなった印刷物を得るために、印刷諸材料が必ず備え持つべき性質。紙等、被印刷物とインキに重点が置かれる。(1)紙の印刷効果に影響を与える性質(狭義の印刷適性)には、地合・厚さの均一性・平滑性・表面強度・寸法安定・緊度・不透明度・白色度・光沢度・表裏差・インキ受容性・浸透性などがある。印刷作業のしやすさに影響をあたえる性質・静電気障害などがある。(2)インキの印刷適性には、印刷機上で安定した流動性を示す性質(機上安定性)・乾燥性・トラッピング・被覆力・水負け・ドットゲイン・光沢・ミスチング・裏移りなどの特性があり、印刷物の使用目的に応じた耐用性を要求される。
いんさつはく (印刷箔)
印刷機内で箔の色に似た色を印刷してしまう。金インキ、銀インキ等、箔色に近い色調が出せるようになって、擬似箔として表紙印刷等に行われている。
いんさつびょうし(印刷表紙)
クロスに箔押しした表紙ではなく、印刷した表紙。
いんさつようし (印刷用紙) printing paper
書籍や新聞、雑誌あるいは証券などをつくるための印刷に用いられる紙を総称して、印刷用紙という。
数をかぞえるという意味で、製本に必要な刷り本の受け渡し時の枚数の照合や断ち割り・付き揃えを行う前の準備、または折り加工の完成枚数の確認など、製本作業の工程毎に行うことが必要。
いんずうき (員数機) counter
大蔵省印刷局で使われていた紙幣(おさつ)の枚数をカウントする機械が印刷所・製本所でも使われている。員数作業を代行する機械。一定枚数ごとにも、ランダムな間隔でも設定したとおりに間紙を入れることもできる。
いんずうしらべ (員数調べ)
用紙や刷り本などの数量をしらべること。→員数
いんずうちょうあい (員数丁合い)
各台の紙数または折り丁を、一定に員数しておいて丁合いする方法。取り込み、取り落ちの発見が早く、刷り本の過不足を早めに発見できる。
インターフェイス interface
二つをつなぐもの。異なる規格のコンピューターどうしをつないだり、コンピューターと一をつなぐ言語など。コンピューターのインターフェイスはデータの中継装置。A/Dコンバータなど。
インチとび (インチ飛び)
平ミシンとじのさい糸のとじめを1インチ(約25cm)ずつとばして縫うこと。(マッケーンソウイング機)。
インチとびミシン (インチ飛びミシン)
インチ飛び用の工業ミシン。
インディアし (インディア紙) India paper, Bible paper
辞書、聖書などの印刷に愛用される特殊の印刷適性用紙。純白色、不透明で薄く、しなやかで割合に強い、かつ印刷インキの吸着がよい。中国の唐紙に擬して、イギリスのオックスフォード(Oxford)で抄造されたので、その名称もある。わが国のいわゆるインディア紙は、亜硫酸パルプをノリ状に叩(こう)解して、炭酸カルシウムを35%くらい混入し、抄造した薄す紙であり、炭酸カルシウムの代わりに白土を用いたインディア紙は辞典用とされ、辞典用紙と名称されている。
インデックス index
(1)索引、見出し。(2)情報検索で目的の情報を探すための手掛かりとなる文字・記号。(3)指数・指標。→索引、爪かけ
インデックスおしき (インデックス押し器) index roll
住所録などの小口側に見出し切りをした後、その見出し箇所に、アルファベット、「ア」「カ」「サ」・・・・・・等の索引文字を箔押しし、または印刷する機械。